パンデミックでの対応
台湾は、新型コロナウイルスの流行下でデジタル技術を駆使して迅速なマスク対策を実施し、買い占めやパニックを鎮めることに成功したことで世界的に注目を集めたが、それも市民参加型のデジタル民主主義の功績である。
先述したように、g0v運動によって活用および強化されたオープンで透明なデータ慣行にもとづき、市民ハッカーたちは政府が提供したデータを利用してマスクの入手可能性をマッピングするアプリを開発した。
これは実際にマスクを購入した人たちがマップ上に各店舗の在庫数をコメントしていく仕組みで、スマホなどの位置情報をもとにマスクがどこにどれくらいあるかを把握し、せっかく出向いたのに購入できないという問題を解消した。
また、マスクの実名販売制データと在庫データの共有先を拡大することで、コンビニでも購入できるようにしたり、オンラインで事前予約ができるようにしたりするなど、改良が重ねられていった。
その結果、世界的な生産対応不足によりマスクの供給が非常に困難であったにもかかわらず、台湾は買い占めやパニックを起こすことなくマスクの普及を達成した。