「弁護士は、べつに正義の味方じゃない」 

――歌舞伎町バヤシ先生のデビュー作『歌舞伎町弁護士』(小学館)、歌舞伎町で実際に起きた耳を疑うようなトラブルの連続を解決していく様が、めちゃくちゃ面白かったです。

若林翔(以下同) よかったです。

――「あざっす」とか、そういう風には軽いノリではないんですね。

キャバクラならまだしも。いちおう社会人なので(苦笑)

――でも、著書では〈弁護士は、べつに正義の味方じゃない〉なんて書いてしまって、そういうのは大丈夫なんですか。

まあ、事実ですからね。本にも書きましたが、「正義を行う者の味方」ではないことが、イコール「悪の味方」になるというわけでもありません。人にはそれぞれの見方や主張があり、たとえ世間から「悪いと思われている人物」であっても、法に定められた手続きにのっとり、その主張や見方の正当性を審理される権利を持っています。それを守るのが弁護士です。

歌舞伎町の駆け込み寺として活躍する弁護士・若林翔さん(撮影/集英社オンライン編集部)
歌舞伎町の駆け込み寺として活躍する弁護士・若林翔さん(撮影/集英社オンライン編集部)
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――民主主義国家においては形式上、国民が「最大の権力者」とされていますが、その運用の実際をつぶさに見てみると、現場における最大の権力者はじつは警察機構なんじゃないか、という指摘には頷きました。本書には悪い刑事の話もいっぱい出てきますしね。

もちろん、真面目に職務を遂行している刑事さんたちもたくさんいますよ。

――われわれ市民の感覚からすれば、刑事は全員が善良でなきゃ困ります。

私はこれまで数百人の警察官とやり取りしてきましたが、問題を抱えている者は少なくありません。