地元記者からは会見後「すごい奇策だ」

窮地に追い込まれたかに見えた田久保氏が一気に活路を開いた4項目の発表に、地元記者からは会見後「すごい奇策だ」と驚きの声も上がった。

だがそれだけではない。「卒業証書は本物だと思ってきたと何度も主張してきた田久保氏は、これが偽物だと捜査で判断された時も逃げられるように伏線を張っています」と市関係者はいう。会見でこう発言したためだ。

「30年前ぐらいのことということもあるんですが、正直に申し上げて、それをどのように手にしたのか、要するに、郵送で送られてきたのか、それとも学校に取りに行ったのか、誰か友達と一緒に行ったのかというような、もう記憶が曖昧でございます」(田久保氏)

7月7日、記者会見を終えた田久保眞紀伊東市長
7月7日、記者会見を終えた田久保眞紀伊東市長
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どうやって入手したかも説明できないが本物だと信じてきた、と言っているのだ。

「会見で出たこの発言に記者たちが疑問を呈さずスルーしたことで、卒業証書が偽物だと判断されても田久保氏は『自分も騙されてきた』と主張ができるようになったも同然です」と同関係者は指摘する。

メガソーラー計画反対などの市民運動に携わった田久保氏は、既得権益集団とみなす前市長を破り市政を奪取した成果を手放したくないとの思いが強いとみられる。会見でも「伊東を変えていくんだという気持ちで私を選んでいただいた、そこに対しては、最後まで私にできるすべての方法をかけてお応えしていきたい」と話し、再選に強い意欲を見せた。

練り上げた奇策の末に田久保氏が戻ってくるのか、前市長側が政権を取り返すのか。前回市長選からわずか2か月の時間を置き、再び伊東市は政争の時間に入る。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班