「糖質疲労」で判断力は落ち、「脂質起動」で学力が上がる?

まずは、お子さんの脳、もっと言えば学力への影響についてです。

血糖値の上がり方と学生の判断力の間には関係があるという研究があります[Br J Nutr 2012; 107: 1823-1832]。

10代の学生を対象とした研究で、糖質を含む食事をしても血糖値が上がらなかったグループと血糖値が上がったグループを比べると、血糖値が上がったグループのほうが判断力は下がったという結果が得られています。

この研究は、赤色で「青」と書いてそれが何色かを答えさせる(この場合の正解は「赤」)という、ちょっとイライラするようなテストで判断力を見るものです。血糖値が上がったグループでは、その後血糖値が下がる血糖値スパイクが起こり、糖質疲労で判断力が落ちたのではないかと私は考えています。

また、「シュガーハイ」という言葉があります。小学校の先生たちが、午前中にいつもと違って落ち着かない様子の生徒たちの様子を感じ取り、その子の朝食について尋ねると、砂糖を摂取している場合が多かったとアンケートに回答しています[Psychological Rep 1993; 72: 47-55]。

これは、ショ糖(ブドウ糖+果糖)の摂取により、子どもの集中力が低下してしまうことを示唆しています。これも血糖値の乱高下(スパイク)による糖質疲労が関与しているかもしれません。

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数年前に、「切れやすい子ども」という問題が話題になりましたが、実は、「切れやすさ」についても血糖値の上下動が関係しているとの話もあります。学習意欲はあるのに、食後の糖質疲労でイライラしたり、眠気が高まったり、判断力が落ちたりしていたら、勉強に身が入りません。