「日傘で紫外線をカットしても近視に影響するとは考えにくい」
一方、医学的な観点からは次のような声もある。
近年、子どもの近視が増加しているといわれる。日本眼科医会の担当者は、「子どもの近視の予防には屋外活動が推奨されています」と、子どもが日光に当たることは大切だとした上で、「(直射日光が当たらない)木陰や建物の陰でも(近視予防の)効果はあるとされています。炎天下では帽子やサングラスなどでもよいといわれているので、日傘で紫外線をカットしても近視に影響するとは考えにくいです」と話した。
さらに、「小学生低学年ぐらいでは、日傘をさすことで片手がふさがり、周囲の様子がわかりづらくなるため、歩行の安全面からは(日傘使用は)あまり推奨しません。移動する際などはつばのある帽子などで紫外線を防ぎ、なるべく手は空いた状態がよいでしょう」としつつ、「日傘を使用する場合は、窓付きのものを使用したり、木陰もなく炎天下である程度の時間いなければならないときなどに使用するのがよいかもしれません」と話した。
子どもの日傘の使用に関しては国の行政機関も言及している。
環境省と文部科学省が作成した「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」(令和6年4月追補版)の「2.熱中症事故等事例とそれを踏まえた対応」には、以下のように記載されている。
「児童生徒等の発達段階や状況、学校の実情を踏まえつつ、日差しを遮ること(帽子や日傘等の活用も考えられる)や、通気性・透湿性の良い服装となることを指導する。」
日傘を持っての登下校にはさまざまなリスクが伴うかもしれない。しかし、夏の高温化が年々進み、子どもたちへの影響は大人の想定を上回っている。自治体や教育現場、家庭での検討と対応がますます求められるのではないだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班