子ども用日傘が前年比170%の売れ行き…全小学生に配布する自治体も

賛否両論ある「子どもの日傘」。傘メーカーにも話を聞いた。 

傘・レイングッズメーカーの株式会社小川では子ども用日傘を開発・販売しており、2024年時点で累計販売本数が10万本を突破したという。

売れ行きが好調だというキッズ晴雨兼用傘(写真提供/株式会社小川)
売れ行きが好調だというキッズ晴雨兼用傘(写真提供/株式会社小川)

 「子どもは大人よりも背が低く地面に近いので、日光の照り返しの影響を受けて暑さを感じやすいといわれています。炎天下で登下校する子どもを心配した社員の発案で、2018年に子ども用日傘の開発に着手しました。

コロナ禍で子どもたちがマスク着用で登下校するようになったときに、愛知県豊田市内のある小学校が『傘をさせばマスクをしなくていい』という“傘さし登下校”を始めました。傘をさすことで自然に児童同士の距離が保たれ、日傘の代わりにもなる、という経緯で始まった取り組みでした。そのことが話題になり、子ども用の日傘の認知とともに需要も高まってきました」

このように話す同社担当者によれば、子ども用日傘が今年は異例の売上を記録しているという。

日傘をさして下校する子どもたち(写真提供/株式会社小川)
日傘をさして下校する子どもたち(写真提供/株式会社小川)

「ひとつのシリーズの商品に限って言いますと、2025年1月から6月までの販売数が昨年比で170%になっています」

現在はオンラインでの販売がメインだが、「店頭での販売も徐々に広がってきています」と話した。

自治体でもさまざまな取り組みを行なっている。

「日本一暑い街」として知られる埼玉県熊谷市では、自治体の施策として、小学生に日傘を配布するという取り組みを行なったという。

熊谷市役所(PhotoACより)
熊谷市役所(PhotoACより)

「2022年に、市内の全ての小学生9000人に日傘を配布しました」

このように話す同市の担当者によれば、配布されたのは、オリジナルで製作された晴雨兼用の傘。「実際に使っていただいているお子さんは多かったのではないか」という。

この事業自体は昨年度で終了したというものの、「熱中症対策として日傘をさすという意識も広がってきていると思います」と話した。