外国人客からのチップ事情は…… 

――お座敷で外国人の接待をすることもあるんですか?

もちろんお座敷に外国人のお客様が来られたり、イベントで踊りを披露する場に呼ばれたりすることもあります。

――外国人とのお座敷はどんな雰囲気なんですか?

私、実はお座敷での外国人の方への接待は好きだったんです。街で迷惑行為をする外国人観光客とは違って、基本的にみなさんお上品で、気を遣ってくれました。

今でも花街には「一見さんお断り」と言って、初めてお茶屋を利用するお客様は、お座敷経験のある方と一緒でないと利用できない決まりになっているんです。

お座敷に来られる外国人のお客様は、政治家や芸能関係者、会社役員などの富裕層ばかりで、舞妓に対してリスペクトしてくれる方が多かったです。「あなたたちはこの道のプロなんでしょう?」って対等に話してくれたり、日本文化を心から楽しもうとしてくれていたり……。

当時の桐貴さん(写真/本人Instagramより)
当時の桐貴さん(写真/本人Instagramより)

――お座敷で外国のお客さんとのコミュニケーションはどうするんですか?

ノリです(笑)。あとは、通訳の方がつくこともあります。でも、通訳の方がいてもちゃんと伝わっているのかわからないときもありましたね。感覚でみんなワイワイ楽しんでくださっている感じでした(笑)。

――お座敷でチップをもらうこともあるんですか?

外国人のお客様はチップ文化の国の方が多かったので、そのまま現金で渡されました。日本人のお客様はポチ袋に入れてそっと渡す方が多かったので、文化の違いを感じて、楽しかったですね。

――外国人のお客さんからもらうチップの金額は?

だいたい1人1万円くらいでしたね。多いときで1人のお客様から10万円くらいもらうこともありました。でも、お座敷でいただいたお金は、お茶屋さんと置屋さんにお渡しする決まりになっています。

――外国人のお客さんから枕の誘いを受けることもあるんですか?

私の知る限りで、外国人のお客様からそういった誘いを受けたという話は聞かないです。舞妓の姿をしていると、外国人のお客様はそういう発想にはなかなかならないんだと思います。

当時の桐貴さん(写真/本人Instagramより)
当時の桐貴さん(写真/本人Instagramより)
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――今後、京都の街はどうなっていくべきだと思いますか?

京都って、観光で支えられている部分も大きいと思うんです。だからこそ、これからはインバウンドを受け入れる体制をちゃんと整えていくことが必要だと感じています。例えば、外国人観光客向けのイベントをもっと増やすことで、街中での盗撮など迷惑行為も減るんじゃないかなと。

そもそも、『京・花街の文化』は京都市が選定する“京都をつなぐ無形文化遺産”に指定されている大切な伝統です。だったら、閉じた場所で守るだけじゃなくて、正しい形で広く見てもらう努力があってもいい。文化を守るためにはちゃんと伝えて、理解してもらうことも大事だと思います。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班