過去10年で最多、激増する外国人ドライバーによる交通事故

現在、山梨県の富士山周辺で外国人観光客によるレンタカーの交通事故が激増している。

山梨県警察本部によると、富士北麓地域で起きた外国人のドライバーによるレンタカーの交通事故は去年、速報値で769件にのぼり過去10年で最も多くなった。 

富士山(PhotoACより)
富士山(PhotoACより)
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国際免許証さえあれば、外国人観光客でも簡単に利用できるレンタカー。山梨県警では、ゴールデンウイークなど、これからの観光シーズンを迎えるにあたり、地元のレンタカー店などと協力して外国人による交通事故防止のための対策に取り組んでいるとのことだ。 

山梨県警察のポスト(Xより)
山梨県警察のポスト(Xより)

そこでまず、山梨県・富士山周辺で外国人観光客向けのレンタカー屋を営む男性(40代)に実情を聞いてみた。

「最近、外国人観光客のお客さんから報告を受けた事故は2件ありました。1件は駐車場に入ろうとして路肩に脱輪した事故です。もう1件はハンドルをうまくきれず、縁石にぶつかった事故です」(レンタカー屋店主)

コロナ禍以降、外国人観光客数はどんどん増えており、最近は台湾、マレーシア、シンガポールから来るお客さんが多いと話す。男性の店では事故防止のため、次のような取り組みをしているとのことだ。

「外国人観光客には道路標識の意味や事故が起きやすいポイントを必ず説明してから車を貸し出しています」(レンタカー屋店主)

写真はイメージです(PhotoACより)
写真はイメージです(PhotoACより)

一方で、富士山周辺で外国人観光客向け送迎車のドライバーをする男性(30代)に取材を行なった。男性の会社の貸し切りハイヤーの料金は1日約7万円で、中華系富裕層がメインの客層だという。男性によると、「最近のお客さんのほとんどが『コンビニ富士山』目的の観光客」とのことだ。 

「コンビニ富士山」とは、外国人観光客の間で話題になっている「ローソン 河口湖駅前店」のことを指す。コンビニエンスストアの建物の上に富士山が乗っているような写真が撮影できることから、今や人気観光スポット化している。前出の送迎車ドライバーはこう続けた。 

中国で人気のSNS「小紅書(RedNote)」に投稿された「コンビニ富士山」の前で記念撮影する観光客(小紅書より)
中国で人気のSNS「小紅書(RedNote)」に投稿された「コンビニ富士山」の前で記念撮影する観光客(小紅書より)

「『コンビニ富士山』周辺は道幅が狭いにもかかわらず、大型観光バスがバンバン通る場所。いつ行っても観光客でごった返していて、クラクションを鳴らしながら通るタクシーや観光バスもしょっちゅう見かけますよ。

最近は『わ』ナンバーのレンタカーもよく見かけるようになりましたね。運転に慣れてない車が多いので、見かけたら車間距離を広めに取るようにしています。

特に外国人観光客はコンビニなどの小さい駐車場に慣れていないのか、ぶつけられそうになったことは何度もあります。日本の交通ルールをしっかりと理解してから運転してほしい」(送迎車ドライバー)

「コンビニ富士山」こと「ローソン 河口湖駅前店」の駐車場(送迎車ドライバー提供)
「コンビニ富士山」こと「ローソン 河口湖駅前店」の駐車場(送迎車ドライバー提供)

「コンビニ富士山」の近隣住民(40代・女性)も交通事故についてこう話す。

「最近、交通事故をよく見かけるようになりました。富士山の写真を撮るため平気で車道に飛び出してくる外国人観光客が多いのも原因の一つでしょうね。

それに加え、富士山周辺ではインバウンドの影響で外国人観光客向けのレンタカー会社やレンタサイクル店舗が増えてきています。そのため、人と車の接触事故だけでなく、車と車の接触事故や自転車と車の接触事故も増加しています。

ただ、事故が起きても『外国人相手で言葉が通じないからめんどくさい』、『旅行時間を無駄にしたくない』という理由で、被害者が警察に報告しないケースも多いと聞きます」(近隣住民)