内閣不信任決議案の提出は見送り公算が高いとの報道も出ているが…

現金給付が不評を買う半面、冒頭の共同通信の6月世論調査では、石破内閣の支持率は37.0%と、5月の調査よりも5ポイントほど上昇した。しかし、自民党の重要閣僚経験者はこう危惧している。

「支持率の若干の上昇は、小泉進次郎農水相がスピード感ある対応で、備蓄米を放出したことへの評価もあるでしょう。しかし、今回の現金給付案は、進次郎で上げた支持率を下げる危険性すらもあると考えています」

いったい、どういうことなのか。

「参院選の主要な争点をコメ問題に絞れば、自民党にとっては有利だったと思います。しかし、野党の掲げる消費減税と、今回の2万円の現金給付を比べると、どうしても物価高対策としてインパクトの弱さが際立ってしまう。それだったらむしろやらないほうが潔かったでしょう」(同前)

小泉進次郎農水相(本人Xより)
小泉進次郎農水相(本人Xより)

国会は6月22日の会期末まで残り1週間となっている。注目されているのは、野党第一党の立憲が内閣不信任決議案を提出するかどうかだ。衆院で与党が過半数割れする中、内閣不信任決議案が提出されれば、成立する公算もある。

自民党の麻生太郎最高顧問は6月12日の麻生派の会合で、内閣不信任決議案が可決されれば、「内閣総辞職という選択肢はあり得ず、(衆院)解散・総選挙となる」と指摘した。

麻生太郎最高顧問(写真/Shutterstock)
麻生太郎最高顧問(写真/Shutterstock)

いっぽうの立憲の野田佳彦代表は、内閣不信任決議案について「総合的に適時、適切に判断」と重ねて説明。日米交渉への影響や、石破政権の支持率が回復傾向にあることなどから、提出は見送りの公算が高いとの報道も出ている。

野党関係者も「不信任決議案を提出しても、維新や国民民主などが欠席すれば、成立せず、ハードルは極めて高い。W選になることはない」とみる。

ただし、立憲の小沢一郎衆院議員は6月14日の青森県内の講演で「(日本維新の会や国民民主党は)反対できない。反対や棄権をしたら、自公政権を助けることになって国民から見放される」と指摘。さらに、「野党が選挙を恐れていて、いつ政権をとれるのか」と内閣不信任決議案の提出を決断すべきだと強調した。

小沢一郎氏(立憲民主党HPより)
小沢一郎氏(立憲民主党HPより)

前出の自民党重要閣僚経験者はこう見る。

「野田さんも追い詰められている。もしここで内閣不信任決議案を提出しなければ『やっぱり選挙すれば負けるとビビってんのか?』となってしまう。とはいえ、ここにきて石破政権の現金給付の不評も出てきている。

立憲としては、仮に衆院選になっても、消費税を下げない石破政権と、消費税を下げる立憲民主党かっていう選挙戦に持っていけば、勝算は見えてくる。野田さんが不信任決議案の提出を本当に見送るかどうかは、最後までわからないと見ています」

立憲民主党の野田佳彦代表(本人Xより)
立憲民主党の野田佳彦代表(本人Xより)
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果たして野田氏の決断は――。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班