「どうせやるにしても、2万円という金額はあまりにケチすぎます」
「決してばらまきではなく、本当に困っている方々に重点をおいた給付金を公約に盛り込むよう検討を指示した」
石破総理は6月13日の会見でそう語り、参院選の目玉公約として国民1人あたり一律2万円の現金給付案を掲げた。子どもと、住民税非課税世帯の大人には、さらに1人2万円を加算するという。ただ、露骨すぎる“選挙対策”に歓迎ムードは乏しい。
「これまで財政規律の観点から、野党が求めるような減税はできないし、現金給付もなしだと説明してきた。いまさら有権者にどう説明すればいいのか……」
石破総理の“変節”に、そう苦言を呈するのは、自民党のベテラン参院議員だ。確かに、野党が消費減税や現金給付を求める中、石破総理は一貫して否定的な立場をとってきた。
たとえば、4月14日の衆院予算委員会では、現金給付や減税の是非を問われ、「選挙目当てのばらまきをすることは考えていない」と強調。その後も、「日本の財政はギリシャより悪い」などと、物価高対策をするにしても財源が乏しい現状を強調してきた経緯がある。
石破総理は会見で、現金給付の財源については「税収動向などを見極めながら適切に確保し、赤字国債に依存しない」と語り、2024年度の税収の上振れ分を充てる方針だ。
しかし、そもそも石破総理は2月の衆院予算員会で「税収の上振れ分を国民にお戻しする財政状況ではない」と税収の還元に否定的な見解を語っていた。
当時の発言との整合性も問われており、「あまりに一貫性がないし、場当たり的すぎる」(前出・ベテラン参院議員)との批判も高まっている。
自民党内からは「給付は一回限りですから、持続性のある消費減税よりも物価高対策への効果は乏しいのが実態。どうせやるにしても、2万円という金額はあまりにケチすぎます」(衆院中堅)といった声もあがる。
衆院の若手議員は「公金受け取り口座を活用した現金給付は、物価高対策だけではなく、今後の有事に備えたシミュレーションとしては大義がある。ただ、選挙前というタイミングが残念。現金給付は、野党第一党の立憲民主党も掲げている案だし、本当は立憲が言い出す前にいち早くやるべきだった」と指摘する。