「処分意見」は不明、「嫌疑はなかった」と伝えている可能性も…

兵庫県では6月12日に県議会の6月定例会が閉会したばかりで、県警は翌13日に書類送検した。県政界への影響を最小限にとどめるための判断とみられる。

書類送検の際に起訴すべきか否かについて言及する「処分意見」は不明で、「嫌疑はなかった」と伝えている可能性もある。ただ県関係者は、「それでもパレード問題は幕引きにはならず、斎藤氏に絡む他の違法行為の指摘もくすぶっています」と指摘する。

6月12日県議会での斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
6月12日県議会での斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
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まずパレード疑惑を今年1月に亡くなった竹内英明元兵庫県議の言葉で振り返る。

竹内氏は兵庫県議会の調査特別委員会(百条委)の委員としてこの疑惑の解明に中心となって取り組んだが、昨年11月の兵庫県知事選の過程で「斎藤知事の疑惑をでっち上げた黒幕だ」とする誹謗中傷を浴び、家族を守りたいと県議を辞職したあと亡くなった。精神的に追い詰められての自死とみられている。

「パレードは言い出しっぺの吉村大阪府知事がクラウドファンディングで費用を集めるとぶち上げたのですが、5億円の目標に対し開催日前日までに約9300万円しか集まらなかった。そのためパレードが終わった後も企業からの協賛金集めが続きました。

兵庫で中心になったのは当時副知事の片山氏で、パレード2日前に県内のT信金の理事長に信金各行の協賛金取りまとめを依頼しています。片山氏は県信用保証協会の理事長経験者で、金融機関に太いパイプを持っていました。T信金など11行は50~300万円ずつ、計2000万円を拠出しました。

2023年の阪神・オリックス優勝パレード(知事SNSより)
2023年の阪神・オリックス優勝パレード(知事SNSより)

同じ時期に県内部ではコロナ対策で行なっていた金融機関への補助金制度に絡み、2023年度の秋の補正予算で当初は総額1億円と見込んでいたところ、4億円に増額されていたんです。増額は片山副知事と斎藤知事が指示していました」(生前の竹内元県議)

この経緯から、“信金がパレードに協賛金を拠出する見返りに、県が補助金を増やす約束をした”との疑惑を指摘する声が県庁内でくすぶっていた。