漏えい指示の疑惑は完全スルー。その上で管理責任を受け給料をカット
「県政に対する信頼を損なうものであり、保有文書を適切に適正に管理すべき立場にある県として、県民の皆様、そして元県民局長とそのご家族、関係者の方々に深くお詫びを申し上げます」
斎藤知事は県議会で、自身のパワハラや公金不正支出疑惑などを昨年3月に告発した元西播磨県民局長・Aさんのパソコンから県当局が見つけた私的な情報が外部に流出したことについてそう述べ、軽く頭を下げた。
この情報漏えい事件を県政担当記者が整理する。
「県は告発者探しの過程でAさんの県公用パソコンの中にあったデータを押収しました。そのAさんの私的情報は、県人事課から少なくとも二つのルートで漏えいしました。漏洩ルートの一つは、実行犯は不明ですが、県の第三者調査委員会は県職員の犯行の可能性が高いと結論付けました。持ち出されたデータはNHK党の立花孝志党首らに渡り、立花氏はこのデータをSNSでさらしました」
もう一つの漏えいも極めて深刻な内容だ。“牛タン倶楽部”と陰で呼ばれた斎藤知事の側近グループの中でも知事の最側近とみられた井ノ本氏が昨年4月、計3人の県議に、私的情報を印刷した紙を見せながら内容を漏えいしたと、この問題を調べた別の第三者委は断定している。
「それだけではありません。井ノ本氏は県に『斎藤知事と片山副知事の指示を受け正当な業務として行なった』と供述したのです。しかも、同じく牛タン倶楽部メンバーとされる片山安孝元副知事と小橋浩一理事(当時)も第三者委に井ノ本氏の主張を裏付ける証言をしたのです。斎藤知事は『指示はしていない』と否認しましたが、第三者委は斎藤知事と片山氏が漏えいを指示した可能性が高いと報告書で言い切りました」(県政担当記者)
3日の県議会の冒頭、浜田知昭議長はこの報告を挙げ、井ノ本氏の情報漏えいが「斎藤知事、および元副知事の指示の下に行なわれた可能性が高いとの判断が示された」と強調。
さらに斎藤知事に対し「県民に丁寧な説明責任を果たすことを強く求めます」とストレートな要求をぶつけた。
斎藤知事の陳謝はこれに続く発言で出たが、「お詫び」の理由はあくまで情報を管理できなかったことに対するもので、漏えい指示の疑惑は完全スルー。その上で、「管理責任を受け止め給与の減額措置を行ないたいと考えています」と表明し、議会終了後に記者団に具体策を述べた。
「これから条例案を提出することになると思いますが、給与の20パーセントを3カ月減額措置させていただくことで今準備を進めています。今『3割カット』もしているので、あわせて給与を半分、減額措置をする形になります。さまざまな指摘があると思いますが、私としても県保有情報が適切に管理できなかったところは組織の長として責任を感じてますので、そこを減額措置という形で自らの身を処していきたいと思います」(斎藤知事)