マスターベーションにはリラックス効果がある

自律神経の観点からいえば、勃起を司るのは副交感神経です。

副交感神経は血圧を下げたり、心拍数を低下させたり、筋肉を弛緩させたり、発汗を抑えたりなど、休息やリラックスするときにはたらく神経ですから、マスターベーションにはリラックス効果があることがわかります。

マスターベーションは、他人から干渉を受けないように一人になれる場所で行うのが一般的ですが、それを見てみたい・見せたいと思う人もいて、ポルノ動画(アダルトビデオ)ではひとつのジャンルとなっているそうです。

それに、ポルノ動画を見てマスターベーションすると確実に男性ホルモンが増えます。なので、日本はもっとポルノに寛容になってほしいと思っています。ポルノであれば別に不倫でもないし、性的搾取でもないですから、誰にも迷惑をかけませんしね。

画像はイメージです(写真/Shutterstock)
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以前、マスターベーションについて、50代のドイツ人の女性にインタビューをしている映像の中で「週に何度かしています。リラックスできるのでストレス解消にしています」と答えていたのを見たことがあります。

オーガズムに達すると、さまざまなホルモンの分泌や自律神経の作用などにより、幸福感で心身が満たされ、リラックスした状態になるからでしょう。

ちなみに、一般的にセックスを活発に行っている人はマスターベーションも活発であることがわかっています。

2013年のある調査によると、「この1カ月でマスターベーションを行った」と答えた男性は、40代、50代、60代でそれぞれ80%、69%、45%。いっぽう、女性は43%、23%、14%と答えています。

そして、「マスターベーションをする理由は?」の回答では、男性は圧倒的に「性欲の解消」が多く、女性は「性欲の解消」とほぼ同じ割合で、「やすらぎ」と答えた人がたくさんいました。

男性は「性欲の解消」のために行っている人が多いようですが、女性は性的な快楽だけでなく、体と心を労わるセルフケアの手段として取り入れている人が増えているように見受けられます。

実際、マスターベーションでオーガズムを得ると、大量のオキシトシンが分泌されて不安な気持ちや緊張が緩和され、ストレス解消につながります。

心身をリラックスさせる効果のあるセロトニンや、眠気と覚醒のリズムを整えるメラトニンも分泌されます。

さらに、幸福感や気分の高揚、鎮痛効果のあるβエンドルフィンや、やる気が出るドーパミン、いわゆる脳内麻薬であるアナンダミドなども分泌されます。

このことから、マスターベーションは生きることの喜びや安心感につながる行為ともいえます。

文/和田 秀樹

『熟年からの性 若返りの秘訣おしえます』(アートデイズ)
和田秀樹
和田 秀樹『熟年からの性 若返りの秘訣おしえます』アートデイズ
2025/4/15
1,650 円(税込)
232ページ
ISBN: 978-4861193101
『80歳の壁』の著者が教える「性」のパワー! なぜ日本はセックスレスになったのか? 熟年からの男女にとって「性」はなぜ大切か? 『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』などベストセラーを連発する精神科医・和田秀樹先生が、「性」にまつわる疑問に答え、熟年を若返らせる秘策を説きます。「本書で私が主張したいことは、熟年以降は男性も女性も性に対して寛容であってほしいということです」(著者の言葉) 性に関する様々な疑問に答え、ヨボヨボ老人にならないために熟年以降の世代ほどセックスをした方がよいと説いた衝撃の書。
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