お酒は2合以上飲んではいけない

アルコールは日本酒に換算して1合(ドリンク数に換算して2.2)くらいまでだったら、かえって健康にいいことがわかっています。

具体的には、善玉であるHDLコレステロールが増えて、血液がさらさらに固まりにくくなります。その結果、血栓が血管に詰まることによって起きる心筋梗塞や脳梗塞が減ります。

ところが、2合を超えて飲むようになると、今度は、HDLコレステロールが下がり中性脂肪が増え、悪い影響が出てきます。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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また、私たちの研究で、飲酒量が増えるほど朝の血圧を上げることがわかっています。とくに、2合以上では、寝ている間は飲まない人よりも低くなる血圧が、朝になるとかなり高くなります。

人間の体はもともと、朝方に交感神経が活発になって血圧が上昇するようにできています。そこにお酒をたくさん飲むことで、より交感神経の働きが強くなるのです。

交感神経の働きが強くなると、血圧が上がるだけでなく、血小板凝集が起きて血がドロドロに固まりやすくなります。さらに、中性脂肪が増えることでも血液のドロドロは助長されます。

そうすると、どうなるでしょうか。血圧が上がることで血管が切れる脳出血が増え、血液がドロドロになることで血管が詰まる脳梗塞や心筋梗塞も増えます。

つまり、2合以上飲む人は、朝方に、あらゆる循環器疾患に襲われやすいのです。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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さらに、1合以上飲むと、全体的にがんのリスクも上がってきます。

結論として、男性の場合、1合未満であればほぼいい方向に働きます。一方で、女性は男性の半分くらいにしておくのが良さそうです。

なお、女性で2合以上習慣的に飲む人はほとんどいないので、飲酒にかかわる研究は男性を対象とするものが中心になっています。