AI企業が2・0へ進化するためには

OpenAI社のアルトマン氏は、マグニフィセント7のいくつかの新作は計算能力が不足しており、技術力が追いついていないと発言しており、「WSJウォール・ストリートジャーナル」誌は、AIのイノベーションは失速しており、AI技術は天井にあると警鐘を鳴らしている。

OpenAI CEOのサム・アルトマン
OpenAI CEOのサム・アルトマン
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いずれにせよ、AIバブル・AIブームは、2000年のITブーム・ITドットコムバブル1・0が終焉してバブルが崩壊した時と、同じ道を辿るとみている。

そして株価にとっては、中長期的に調整局面となることは避けられないと見る。注意しておきたいことは、NASDAQ(ナスダック)の時価総額に着目したとき、マグニフィセント7はS&P500の30%を占めており、ほぼほぼこの7社が相場全体を牽引してきていることである。S&P500指数では、2023年からスタートした上昇トレンド相場が、2025年の第1・四半期で終焉する可能性は高いとみている。

今後、AI企業が2・0へ進化するためには、グレート・クラッシュの後に、AI専門のデータ・センターの供給が確立され、AIに重要な需要電力が十分に確保されることが、最も重要である。AIの次なる技術力の進展が認知されるであろう1、2年先まで、時間調整が必要だろう。

ところが、米国が面白いのは、そんな暴落の先にも、世界を凌駕するであろう新たに注目すべき分野の芽を多数、持っているということだ。そうした面では米国は“不死鳥”とも言えるであろう。

したがって、たとえ大不況に見舞われようと、2030年あたりから、再び米国企業は部分的な“復活”を見せてくるであろうと、私は確信している。その萌芽となる分野はすでに芽吹いていており、いくつかは新興企業の形で世に出ているものもある。

そして2030年頃にはそれらの分野や企業が開花し、あるいは咲き誇っている可能性も高いだろう。

その新たな経済の鍵を握っているのが、ドナルド・トランプ大統領である。米国が国家として一丸となって、トランプの政策に沿って動いているからである。

#3 に続く

文/岩永憲治 写真/Shutterstock

トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界
岩永憲治
トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界
2025/3/26
1,870円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4087861419

リーマン・ショックに匹敵する経済のクラッシュは来るのか? 岩永憲治・著『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』2025年3月26日 、集英社より 発売。
2023年に多くのエコノミストが不況を予測する中、2024年のバブル相場を言い当てた著者が、2025年から2028年に至る暴落相場を予測する。

◆内容紹介
トランプ大統領の就任以来、関税の大幅な引き上げ をはじめ、アメリカ中心の経済政策に振り回される世界の国々。コロナ禍の期間 に世界にばらまかれたお金は、株式市場に空前のバブルを生み出し、世界中でインフレを高進させた。貧富の差が拡大し、膨らんだAIバブルも崩壊しつつあるが、早めの対策を打てば自分の財産は守れるはず……。そんな著者の思いが込められた本書。
もはや世界経済のグレート・クラッシュ (金融暴落) は避けられないにしても、ITバブル崩壊後にグーグルやアマゾンなどの後の巨大企業が生き残ったように、次世代に生き残る企業の芽はすでに芽吹いている。それは、どんな業種のどんな企業なのか?
トランプ大統領の進める新しいエネルギー政策など、グレート・クラッシュ後の世界経済のトレンドもすでに筆者の頭の中には描かれている。未来の世界経済の変化や自分の投資を考えるヒントにもなる、著者渾身の一冊。

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