「授業料無償化」よりも「働き方改革」
では、少子化対策で求められていることは何なのか。
調査では、「子どもは育てたくない」と答えている若者でも大半が少子化対策に関しては「必要」と回答しており、なかでも「ワークライフバランスの改善」が78.2%、「柔軟な働き方の拡大」が77.8%と、「高校授業料の無償化」(64.8%)よりも働き方改革が必要だと回答した人がやや多い傾向となった。
「働き方に余裕が生まれない限り、なかなか子どもを持つ選択肢を考え始めることが難しいのが現実ではないでしょうか。無償化も支持されていますが、次に取り組むべきは長時間労働の改善や、ライフワークバランスの改善、また産休育休を取得した人に対する昇進上などの差別是正です」
そう訴える末冨教授。2年前のこども家庭庁の立ち上げ当初から携わり、現在は同庁のこども家庭審議会部会委員の一員として、調査結果をもとに政府に政策提言などを行なう立場だ。
民間の手腕に委ねられることが多い働き方改革だが、政府はどのような政策を実行すべきなのか。
「企業の法人番号を入れれば、産休育休に関する支援や取得率などを検索できるツールを国や厚労省が作って公開すべきだと思います。逆に子どもを持つ労働者へのハラスメント事案などで労働基準監督署から指導が入った歴のある“ブラック企業リスト”を作って公開する手法も国会で提案したこともあります。
国が取り締まるようになれば、民間の働き方改革も実行力が上がり、働き手も安心できる。無償化政策と違ってお金もかからないのですぐ取り組めるはずです」