出生数は過去最低を記録
女性1人が生涯に生むと予想される子どもの数を示す統計的な指標「合計特殊出生率」は下がり続けている。昨年、厚生労働省は2023年の「人口動態統計」の概数を公表したのだが、合計特殊出生率は1,20で、統計を取り始めて以降、最低を記録した。
また、2024年の出生数は72万988人で、こちらも統計を取り始めて以降、過去最少となっている。しかもこの数字は外国人を含んでおり、日本人に限定すると70万人を切ると予想されている。
そんな中で、これからを担っていく世代の約半数が、「子どもは育てたくない」と思っているという調査結果は衝撃的であった。
なぜ若者がここまで子育てに対して消極的になっているのだろうか。独身研究家の荒川和久氏に見解を聞いた。
「経済中間層に余裕がないことがひとつの原因だと考えます。例えば大企業に務めている人や公務員を見ると、彼らは1980年代、90年代と同じくらい結婚していて子どもを産んでいますからね。
問題は、ボリュームの多い年収300万円台の経済中間層の婚姻率が劇的に下がっていることです。10~15年ほど前までは300万円台でも結婚していましたが、今の婚活市場では300万円台だと相手にされません。若者の“意識上の結婚コスト”がインフレした結果、諦婚につながり、このような調査結果が出たのだと推察されます。
重要なのは、これは貧困化ではなくて、中間層が苦しい目に合っているのだということです。中間層が一番苦しい目にあっているが故に、その人たちが行動を抑制せざるを得ない。その行動の中には、恋愛も結婚もあるし、結婚して子供を育てるという行動も含まれているわけです」(荒川和久氏、以下同)
実際、今回の調査によると、年収が299万円未満、または世帯年収が399万円未満の人では、「子どもは育てたくない」と答えた人の割合が6割にまで上がるという。年収が低いほど、子育てを躊躇しているのだ。