「自分に都合のいい意見しか聞かない」
百条委報告を一蹴した斎藤知事には県議会からも不満が高まっていたが、定例議会の会期末が近づいても知事に問責や辞職勧告、さらには二度目の不信任決議を突きつけようとの動きは顕在化しなかった。
「『また不信任決議案が出される』といったうわさも一時流れましたが、事情を知らない者によるデマか根拠のない妄想です。なぜなら、県議会の主要会派は県幹部らの知事説得の動きを察知し、奏功することを願っていたからです。
しかしだれも知事の最終決断を読めなかった。そうして迎えた最終日の3月26日に、斎藤知事は第三者委の“違法”との指摘をまったく受け止めず、Aさんの処分は『適切だった』とこれまで同じ主張をしたんです。こうして県職員と議会の最後の期待は吹き飛びました」(県議会筋)
斎藤知事は会見で、公益通報者保護法違反かどうかは弁護士ら専門家でも「意見が分かれる」と主張。違法には当たらないとの主張をしている専門家の例として、斎藤知事を擁護し続けた増山県議が百条委に推薦した弁護士や、「私の弁護士」を挙げた。
「結局、自分の望む方向へ進めるため都合のいい意見しか聞かないということです。Aさんを処分した昨年春と、何も変わっていません」(冒頭の県職員)
Aさんを非難した会見から3月27日で1年。斎藤知事自身の手により、当面混乱を収拾する道は絶たれた。県議会と県職員の間では失望と怒りが広がっている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班