パワハラ告発は“おおむね事実”と認定
2月18日に百条委の意見集約のための協議会が開かれ、そこで奥谷謙一委員長が、同日会期が始まった県議会2月定例会に提出する報告書の素案を他の委員に見せた。協議会は非公開で行なわれたが、終了直後から兵庫県に常駐するメディアが概要を報じ始めた。
内容に入る前にこれまでの経緯を整理する。
「この問題は昨年3月12日に当時の西播磨県民局長・Aさん(60)が知事や側近らの疑惑を並べた告発文書をメディアや複数の県議に送付したことで動き出しました。文書には、知事のパワハラや特産品のおねだり、2023年11月の阪神・オリックス優勝記念パレードに協賛金を出した県内の信用金庫に県が補助金をつける裏約束をしたという公金不正支出疑惑など、7項目が書かれていました」(地元記者)
この文書を入手した斎藤氏は、昨年3月21日に当時の片山安孝副知事(昨年7月に辞職)ら側近グループに発信者探しを命じた。そして特定されたAさんはその後、懲戒処分を受けた末、百条委が発足した直後の同年7月に急死。自死とみられ、「百条委を最後までやり遂げてほしい」という遺書が見つかった。
告発者を探してAさんと特定し、処分したことは公益通報者保護法が禁じる違法行為ではないかとの疑念が強く、当初文書にあった7項目の真偽を調べる目的で発足した百条委は、県のAさんへの対応も調査項目に加えた。
そして斎藤氏も含む関係者の証人尋問などの調査結果と、委員会メンバーからの意見を基に取りまとめられたものが、このたび奥谷氏が示した報告書素案だ。
「報じられた素案内容は、斎藤氏は職員に強い叱責をしていたことは事実だと評価でき、パワハラについての告発文書の内容は“おおむね事実”と認定しています。
「またAさんの告発行為は公益通報者保護法の対象であると判断し、斎藤氏が昨年3月27日の会見で『嘘八百』『公務員失格』と非難しながらAさんのことを明らかにしたのは“告発者つぶし”と捉えられかねない不適切な行動だったと指摘しました。一連の県の対応に公益通報者保護法違反の疑いがあると明言しています」(県議会関係者)