不動の国内ナンバーワン人気
日本国内でのアンパンマンの圧倒的な人気は、アンパンマンの玩具やアパレルを多数展開しているバンダイの「こどもアンケートレポート」の結果からも明らかです。同レポートでは1996年から2018年までの23年間「お子様の好きなキャラクターに関する意識調査」と題して、子どもたちに人気があるキャラクターのランキングを発表しています。
調査対象は0~12歳の子供を持つ親(子供と一緒に回答できる親)800人。このランキングでアンパンマンの人気ぶりはダントツです。2002年から2018年までの17年間、2015年と16年の2年間のみ1位を「妖怪ウォッチ」に譲ったものの、残り15年はずっと人気1位を保持してきたのです。
2018年のアンケートでも男女総合1位は「それいけ!アンパンマン」。支持率は11・5%。2位「ドラえもん」の8・0%を大きく引き離しています。男女別の人気を見ると、男子では「ドラえもん」に続き2位、女子では「プリキュアシリーズ」や「すみっコぐらし」「ディズニープリンセス」を抑えて1位です。
年代別では、男女ともに0~2歳では2位に2倍以上の差をつけての1位で、アンパンマンが乳幼児に高い人気があることがよくわかります。3~5歳になると男子1位の「仮面ライダーシリーズ」に次いで2位、女子は「プリキュアシリーズ」が1位に、「アナ雪」「ディズニープリンセス」が2位でベスト3から姿を消します。
なぜアンパンマンが乳幼児に人気があるのか。親御さんたちからは「いろいろなキャラクターがストーリー中に出てきて楽しい」「おもちゃの種類が多く、馴染みがある」という声が寄せられています。2300を超える豊富なキャラクターの多様性がそのまま乳幼児層からの支持と繋がっているわけです。さらにバンダイでは「子どもだけではなく、親からも信頼されている」のがアンパンマンの強みだ、と分析しています。
2019年以降、バンダイではキャラクター別の人気調査を行っていませんが、アンパンマンの人気は、2025年現在もおそらく揺るぎないものでしょう。その証拠が24 年の映画の大ヒットです。
同年6月28日に公開された映画の最新作「それいけ!アンパンマン ばいきんまんと19第1章 世界6位、7兆円の巨大ビジネスえほんのルルン」は、最初の週末3日間で興行収入1億7000万円、観客動員13万7000人を記録し、シリーズで初めて映画動員ランキングで1位を獲得しました。
公開50日で興収6億7231万7140円、観客動員52万9504人。1989年の第1作から35作目にして最高成績を上げたのです。アンパンマン人気が依然トップクラスであるのがわかります。
文/柳瀬博一 写真/shutterstock