波平が買ってきたポンコツな機械

まずは、評論・情報系同人誌サークル『サザエさんじゃんけん研究所』の所長。運営しているサイトでは、アニメのエンディング内で行われるじゃんけんを毎週リアルタイムで記録するのはもちろん、「3週連続以上同じ手が出た回」の収集や、独自の予想方法に基づいて次の手を予想する取り組みを行っている。

サザエさん55周年ビジュアル©️長谷川町子美術館)
サザエさん55周年ビジュアル©️長谷川町子美術館)

そんな所長が“神回”と呼ぶのは、2007年5月27日に放送された第1913回、作品No.5875「父さん発明の母」。このエピソードは、今やネットミームにもなっている「全自動タマゴ割機」が登場した回だ。

使い方はかんたん、タマゴ割機の電気コードをコンセントに繋げ、卵を5個ほどセットし、レバーを引くだけ。排出された卵をアームがキャッチし、杭が打たれて殻がむけて、下に落ちるという“全自動タマゴ割機”。

なんともオーバーテクノロジーな機械だが、購入した波平は「どうだ、母さん。これがあれば楽になるだろう」「我ながらいい買い物をしたもんだ」とドヤ顔。

一方、カツオは「手で割ったほうが早いんじゃないかな」と冷静にツッコミを入れ、ノリスケに至っては「馬鹿馬鹿しい」「どうせ買うのは卵なんか割ったことのない関白亭主ですよ」とボロクソに言ってしまい、波平から出禁を食らってしまう。

この回の見どころについて、所長は「各キャラクターの暴走ぶりです。調子に乗る波平、終始ドン引きのサザエとフネ、便乗する子どもたち、失言して出入り禁止になるノリスケといったところです。“全自動卵割り機”など多数のネットミームの元ネタにもなっています」と解説する。

国民的アニメの保守的なイメージを覆す、ぶっとんだシュールな内容。のちに二次創作も盛んになり、サザエさんファンの間では知らない人はいない伝説回となった。

続いて神回を紹介してくれるのは、45年近く『サザエさん」を愛好し研究してきた男性・秋葉さん。