スポーツの枠を超えて、社会に貢献していきたい

広治 日本の選手がずっと超えられなかった、75m96㎝という父の記録を超え、その先にある80mの壁を超えるために、更に技術や体力を磨き努力を重ねた。

〈室伏親子・特別対談〉「広治は10歳のときに初めて行なったターンの練習で、“よい投げの感覚”を完全につかんだ」「父は努力の人。父というお手本がないとどうしようもなかった」室伏親子が考えるヒトの力の限界とは?_4

しかし80mという記録を投げたい気持ちだけが強くなり数字にこだわってしまうと、自分の投擲技術そのものがおろそかになってしまう。そこで私は敢えて、記録を意識しないようにフィールドの80mのラインを消して練習していました。

そこで私は記録を意識せず、「如何にして投げる瞬間の初速を最大に高めるか」というところに目標を置き、トレーニングを継続したところ、80mの壁を越えることができたのです。

私はアスリートという貴重な経験をさせていただきました。スポーツから学んだことは数多くあります。

精神面のコントロールやコンディショニング方法、身体操作の技術、体力の向上の仕方、人とのコミュニケーションスキルなど、そこにはいろいろなものがあるかと思いますが、そういったものを個人的な感覚に留めておくのではなく、科学的なエビデンスとして残して、また、競技、スポーツの枠を超えて、社会に貢献していきたいと考えています。