これがディオ・ブランドーの身上調査書だ!
実は、ディオの身上調査書もジョナサンの身上調査書も、もう手元にはありません。見直すために取ってある身上調査書もいくつかありますが、漫画に描いたらもうそこにキャラクターはいるわけなので、「もういらないや」と捨ててしまったり、気づいたらどこかにいってしまったりしていることが多いのです。
これはキャラクターのスケッチも同様で、ファイリングしても後で探すのが大変ですし、あればあったで消したり書き直したりしたくなるでしょう。それより漫画で描いていく方が重要なので、身上調査書をわざわざ取っておくということはしていません。
というわけで、『ジョジョ』第1部をスタートする当時のことを思い出しながら、今回新たにディオの身上調査書を作ってみることにします。
ジョナサンを常に上回っている存在としてのディオをどう描くかは、第1部において決定的に重要なポイントでした。まず考えたのは、「悪のかっこよさ」を体現するキャラクターにしようということです。
昔で言えば『巨人の星』の星飛雄馬に対する花形満のように、少年漫画には「かっこいい悪役」の伝統があり、ディオの身上調査書も、海外のアイドルのビジュアルなどもイメージしながら、「美しい、かっこいい少年」として作っていきました。
ディオという名前はジョナサン・ジョースターの「ジョジョ」と対比させ、同じ「ジョ」で始まらないというのはもちろん、言葉のシルエットのようなもの、たとえば丸い語感にしないとか、濁点が多いとか、そういう部分でも悪役としてのディオを表現したいと思いました。
ディオという名前には、イタリア語の「ディオ」より「神様」というニュアンスを被せ、全能感のイメージにつなげているのですが、そのころ、ロニー・ジェイムス・ディオというロック・ミュージシャンがいたので、「ディオ」には元々馴染みがあったのです。
さて、ディオのビジュアルです。身長は185センチぐらいと背が高く、セクシーな肉体を持っている。黒髪のジョナサンと対比させるために髪の色は金髪にし、瞳の色はグリーン。
昔ながらの悪役と同じく、目はちょっとつり目で、笑うとエクボと牙が出る。女の子にはモテるけど、自分から誰かを愛するというより支配的な感じ……そんなちょっとしたメモのようなことを書いていくうちに、ディオというキャラクターが、ビジュアルとしてだんだん浮かび上がってきます。