「50代の挑戦に優しくない社会」

しばらくは「どうしてこうなってしまったんだろう」と自分を責めたり、後悔の念に苛まれる日々を送っていた。経済的な面でも家族の不安そうな表情を見るたび、「もう少し我慢できなかったのか」と思う気持ちもある。

そんな中、失業手当を受給するために行ったハローワークで、職業講習を受講したことが一筋の光となった。

「この年齢で新しいことを学んで挑戦できたことがとても楽しくて、新しい友人にも恵まれ、少し前向きになれた自分がいました」

受講を終えたものの、「受講した職業は向いてない」と感じた伊藤さん。そこで心機一転、新たに求職活動を始めたが、日々痛感するのは高すぎる“年齢の壁”だ。

「『何歳からでも色んなことはできるよ』といいつつ、日本社会って50代で新しい挑戦をする人に優しくない社会だなとは感じます。求職サイトで応募しつつも、簡単には決まりません。今の時代、人手不足なので30、40代だと未経験でも範囲を広げればすぐ仕事が見つかりますが、50代だと経験有でも年齢で弾かれてしまう」

50代から就職活動を開始したものの…
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