新卒から勤めた地方公務員を50歳で早期退職
「毎年、変わり映えのない仕事内容や人間関係の煩わしさに、年を負うごとに嫌気が差して、もう我慢の限界でした」
そう語るのは、東北地方に住む無職の田中さん(52)。昨年、新卒から31年間勤めていた地方公務員を50歳で早期退職した。現在、妻と猫一匹と賃貸アパートに住んでいる。
定年まで残り15年。どうして地方公務員という安定した仕事を手放し、早めにリタイアすることを決めたのか。
「子どもの頃から親に公務員になるように言われて育ちました。親は収入が不安定な職業だったので、自分の子どもには苦労してほしくなかったんだと思います。だから高校進学した段階で、迷うことなく公務員になるコースを見据えていました。他にやりたい仕事も思い浮かばなかったですしね。
ただ公務員にはなったものの、毎日変わり映えのない仕事内容に飽きてきて、人間関係も煩わしく、年齢を重ねるごとに嫌気が差してきたんです。とはいいつつ転職する勇気もなかったから、結局そのまま31年間公務員として働き続けました」(田中さん、以下同)
そんな変わり映えのない日々を過ごしていた田中さんだったが、早期退職を決める大きなきっかけは公務員の定年制度が変更になったことだった。従来の60歳から退職年齢は5年延長され、65歳となった。
「80歳が寿命としたら残りの時間が30年。そのうち半分の15年を仕事に奪われるんですよ。もう我慢の限界でしたね」
田中さんは50歳の段階で、ある程度の資産は貯まっていた。早期退職か、定年まで勤めるか…迷った末に「自由」を選ぶことにした。