お小遣い制は夫への経済的DV?

発端となったのは12月5日、あるユーザーがXにつづったお小遣い制についてのポストだった。同ユーザーは、高学歴で年収1500万超の複数知人がお小遣い制を強制されたせいで、エリートコースから外れて出世が遅いと投稿。「臨時収入やボーナスは全て管理され没収なので『仕事のモチベーションが上がらない』」などと知人の窮状を訴えかけた。

すると、同日に経済系インフルエンサーの田端信太郎氏が「お小遣い制は経済DV!」と、引用ポストでこれに同調。

さらに、田端氏と親交のある実業家・ホリエモンこと堀江貴文氏も、「ほんとに! 俺もこれはずっと言い続けている。奴隷制度だよねこれ」と引用ポストした。

お小遣い制は「奴隷制度」と発信した堀江貴文氏(本人公式インスタグラムより)
お小遣い制は「奴隷制度」と発信した堀江貴文氏(本人公式インスタグラムより)
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こうして、“お小遣い制”に対する賛否がX上で激しくなると、ユーザーからは〈お小遣い制は現代の農奴制〉〈無駄遣いしないための良い慣習だと思うけどなぁ〉〈夫婦は雇用関係じゃないんだから話合って決めたらいいでしょ〉など、さまざまな声が上がった。

果たして、お小遣い制は本当に奴隷制度なのか? 実態を調査すべく、まずはママたちが多く集う東京・墨田区の錦糸公園を訪れた。

子連れでにぎわう錦糸公園(撮影/集英社オンライン)
子連れでにぎわう錦糸公園(撮影/集英社オンライン)

ここは平日・土日問わず老若男女でにぎわっているが、中でも子連れの利用者が多い。最初に声をかけたのは、遊具で遊ぶ子どもを見守る2人組のママで、ともにお小遣い制だという。

「うちはお小遣い制で3万円です。夫婦で共同の口座を作って、私も夫もそこに入金して、現金で下ろして手渡ししています。子どもがいるから、お金を貯めとかないといけないのはお互いにわかっているので」(30代母・パート)

「うちも3万円。周りがお小遣い制かはわからない。やっぱり生々しいからママ友にお金の話ってできないんですよね(笑)」(30代母・専業主婦)

インタビューに答えてくれた母親(撮影/集英社オンライン)
インタビューに答えてくれた母親(撮影/集英社オンライン)

2人に世間の議論について問うてみたところ、「家族なので、収入は家の共有の財産だから」と“奴隷扱い”しているという意見には否定的だった。

また、3万円が少ないという声にも、「嫌なら『もっと稼いでください』としか(笑)。収入が少ないから管理せざるを得ないわけで、高収入なら無駄遣いしてもまだ余裕はあるし」と意見が一致していた。