第一審で「私は殺害してない」と主張するが…
たつの市の事件は2006年9月28日午後6時20分ごろ、塾から自転車で帰宅途中の小4女児が刃物を持って近づいてきた男に路上で胸などを刺され、重傷を負った。女児は塾に逃げ込み、一命を取りとめた。
「勝田容疑者は岡山県津山市で04年9月に起きた小3女児殺害事件で2018年に逮捕され、昨年9月に最高裁が上告を棄却して無期懲役刑が確定しました。
たつの市や加古川市の事件を捜査していた兵庫県警は手口が酷似していることなどから刑務所に捜査員を派遣、任意の聴取を続けていたところ、勝田容疑者が今年に入って両事件に関与したとの供述を始めたのです。
たつの市の事件に関しては現場近くの防犯カメラに黒いバックパックを背負った男が走り去る姿が映っており、これが勝田容疑者の特徴と一致。また、刃物で女児を刺した回数や場所、角度などについて具体的に供述し、これが解剖所見と矛盾がなかったため容疑が強まったとみて県警に身柄を移し、逮捕しました。県警は当然、加古川の事件について殺人容疑で再逮捕することを視野に入れています」(兵庫県警担当記者)
加古川市の事件は2007年10月16日午後6時ごろ、帰宅した柚希ちゃんが自転車を自宅裏に置いて玄関先に向かう途中に発生した。
悲鳴を聞いた姉や妹、母、祖母が瞬時に飛び出すと玄関先で柚希ちゃんは「痛い、痛い」と立ち尽くしており、家族からの通報で駆けつけた救急車で県立こども病院(神戸市須磨区)に搬送されたが、午後7時46分に絶命した。鋭利な刃物で左胸と腹を刺されたことによる失血死だった。
抵抗する間もないほどの一瞬の犯行で、柚希ちゃんは刺されたことに気づかなかったのか搬送中、救急隊員らにこう声を振り絞った。
「おとなの男のひとに、たたかれた」
岡山県津山市の事件でも、被害者は胸や腹を刺され、大量出血のうえ亡くなっている。
この事件で勝田容疑者は「女児の命日が来るたびにネットで調べて自分の犯行とバレていないことを確認していた」などと供述。
しかし殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた岡山地裁の第一審では、捜査段階での自白を「死刑が怖かった。嘘をついて認めれば罪が軽くなると思った。私は殺害していない」などと言を翻し、弁護側も「遺留品など犯行に結びつく客観的証拠が一切ない」と主張。
しかし、裁判員裁判で行われた一審は自白の信用性を認めて求刑通りの無期懲役の判決を言い渡し、二審の広島高裁岡山支部もこれを支持して控訴を棄却、即日上告を受けた最高裁が昨年9月7日付けでこれを棄却し、刑が確定していた。