30分以上の利用があるとアラート
「mamaroでは『アラートメール機能』のシステムを搭載しています。30分以上の利用があると、事前に登録されている管理者のアドレスに通知がいきます。
お母さんたちの中には、夜泣きの対応で疲れていながら、授乳をする方もいます。そのときに血圧が下がってしまうことで、貧血を起こしてしまうことも。そのような体調不良の際に、管理者が外から鍵を開ければ、助けることができます」
体調不良者の早期発見が本来の目的だったが、「アラートメール機能」の存在が「目的外の利用」の抑止力になり、鉄道事業者からは「不正利用を防げる」と喜びの声があったそうだ。
他にも「ロゴマークが大きいミルクのデザインなので、ベビーケアルームだと想起しやすいです」と話す。
少子化でも需要は「ある」
お母さんたちにはうれしい屋外でのベビーケアルームだが、少子化の中で需要はあるのだろうか。今回の事件でも大分市は「利用者が少ない」ことを理由に閉鎖を決定。Xでは屋外授乳室の意義を問う声があった。
「3年前に、1000人を対象としたアンケートを行ったところ、mamaroを『公園に設置してほしい』という声が1位でした。『授乳やオムツ替えができる場所がなくて、わざわざ家に帰らなくてはいけない』『駐車場に戻って車で授乳するけど、吐き戻しで車が汚れる』など、ベビーケアルームがないことで、お出かけが億劫になったり、ストレスを抱えたりしていることがわかりました」
他にもアウトレットモールや動物園など、「屋内にはもうスペースがないけど、屋外のスペースを有効活用したい」というデベロッパーの声も多かったのだとか。
さらに、意外なところでもベビーケアルームの需要があるという。
「お祭りや地域イベント、あと音楽フェスでも引き合いをいただきます。『お母さんになったことがきっかけで、ライブに行けなくなった』という声を受けて、イベント主催者だけでなくアーティスト側が要望されることもありました」
「ファンが安心して訪れる会場であるかどうかを、アーティストが気にするから」と、ライブ会場としても多く使用される東京ドームでは、授乳環境を充実させるべく、今夏に授乳室をリニューアルしたという。 Mr.Childrenやサカナクションのライブ会場では、託児サービスも導入されていた。
お母さんが音楽を聴いて生き生きしている姿を見られるのは、子どもにとってもうれしいことだろう。
「子育てがハッピーで、素敵な体験ができると思えれば、子育て環境はだんだんよくなっていくと思います。今回は残念な事案でしたが、プラスに捉えて次世代のパパママとなる若い方々が興味関心を持ってくれるようになるといいですね」
――少子化など暗いニュースが続く中、次世代に向けて明るい光が差しているように思えた。
出典元
※ 大分市 大分駅前広場
https://www.city.oita.oita.jp/o170/machizukuri/toshi/oitastationzyunyusitsu.html
取材・文/綾部まと