なぜ、東出はこんなにも嫌われるのか? 

そのときの2人とは今も友人付き合いが続いていて、1人は東出に感化され狩猟免許を取得し、今度、彼と同じ猟友会に所属することになるかもしれないのだという。

ただ、信用してもやはり裏切られることはあった。映画の宣伝を兼ねて都内のスタジオである雑誌の取材を受け、その後、記者に「山の生活に興味があるので遊びに行っていいか」と問われ、快諾した。

そうしてやって来た記者と編集者とカメラマンの3人に東出はいつものように料理をふるまい、山での生活を大いに語った。すると後日、出版された雑誌は山の写真と話ばかりだった。わざわざスタジオで撮影した写真はお蔵入りとなった。

「そのときは、それは話が違うよ、と言いました。だまし討ちだから、って」

口ぶりは穏やかだが、はっきりと抗議した様子がうかがえた。東出も怒るのだとわかると、なぜだか心が落ち着いた。そりゃそうだろう、と。東出も人なのだと思えた。

柔和で冗談を言ってよく笑うが、時折曇った表情を見せることも…
柔和で冗談を言ってよく笑うが、時折曇った表情を見せることも…

東出の取材をすると決まってからというもの、私は周囲の何人もの人に東出の印象を尋ねた。すると、想像以上に嫌悪感を示す人が多かった。

2つ目の謎。なぜ、東出はこんなにも嫌われるのか——。

過去、東出と同じ過ちを犯した人は無数にいる。しかし、彼ほど人生が一変してしまった人は、そうはいないのではないか。もっと言えば、罪と罰の軽重が釣り合っていないように思えた。

以前、東出とともにテレビに出演していた落語家に意見を求めると「前のイメージが良過ぎたんでしょうねぇ……」と言った。

世間を敵に回してしまうのも無理はない、そう思えたシーンがある。

2024年1月、フジテレビの情報番組『めざまし8』が東出の山暮らしに密着したドキュメンタリーを放映した。同番組は前年にも他に先駆け東出の生活に密着しており、その続編でもあった。

第2弾では東出の生活スタイルに魅せられた後輩の若い女性俳優3人が頻繁に彼のもとを訪れている様子が紹介されていた。映像の中には、ディレクターらしき人物が東出に、この様子を流したらネットがまた荒れるのではないかと心配する声が入っていた。それに対して、東出は「荒れろ! 荒れろ! はははははは」と笑い飛ばした。