裏金議員4人が野党候補にリードを許す展開
「今回、無所属でありますから大変厳しい選挙であります」
衆院選が公示された15日、文部科学大臣や自民党の政調会長などを歴任した自民党の重鎮・下村博文氏が東京都の板橋区内でマイクを握った。
下村氏は裏金問題を巡って476万円の政治資金不記載があったことが発覚。旧安倍派の事務総長を務めていたことから党員資格停止1年の処分を受け、今回の選挙は無所属で立候補することとなった。
これまで東京11区で一度も敗れることなく9選を重ねてきた下村氏だが、各政党や報道機関が実施している情勢調査の情報によると、立憲民主党の阿久津幸彦氏にリードを許し、苦戦している情勢だ。
自民党からは非公認になっているため、小選挙区で落選すれば比例復活はすることなく、大臣経験者が議員バッジを外す危機に見舞われている。
衆院選を巡る情勢について自民党関係者はため息をつきながらこう語る。
「裏金による自民党への逆風は、無党派層や浮動票が多い東京都においてより強くなっている。多くの自民党議員が落選し、これまで守ってきた選挙区もことごとく明け渡してしまうような厳しい情勢だ」
永田町では自民党が10月11日から13日にかけて実施したとされる、東京都内の情勢調査に関する情報が出回っている。
都内では、下村博文氏、平沢勝栄氏、小田原潔氏、萩生田光一氏の4人が”裏金議員”として非公認となり、山田美樹氏、丸川珠代氏の2人が公認されたものの比例重複なしとなった。
調査では、このうち下村氏、小田原氏、山田氏、丸川氏の4人が野党候補にリードを許している。
下村氏の情勢については先に触れた通りだが、環境大臣や五輪担当大臣などを歴任した丸川氏も立憲の松尾明弘氏に対して劣勢となっている。
1票の格差を解消するための区割り変更「10増10減」によって東京都内の選挙区が増えたため、満を持して参院議員から衆院選に鞍替え出馬した形だが、元衆院議員で2022年参院選にも挑戦していた松尾氏に押し込まれ、国会議員を続けられるかどうかも危うい状況だ。
小田原氏も山田氏も2021年の前回選では小選挙区で勝利をおさめたが、今回はともに苦戦を強いられている。