被害者が語るトラウマの現状
裁判2日目の証人尋問は遮蔽版が立てられた状態でAさんが出廷、被告人とは初めて会ったその日に男性Bから「被告人を抱いてくれないかと言われたので軽く抱きました」と証言をした。そして何度も「被告人から仲よくしようとしてきた」ことを主張。
その後の1万5000円の受け渡しについては「被告人からお金のことを聞かれたが『言う必要がない』と答えた」と説明。
「僕が好き好き言ったわけではなく、被告人の方から好き好きすり寄ってきた」と繰り返した。また「たった2回しか会ってないのに、なぜ変な恨みを買われなければいけないんだと思う。絶対に許さない」と怒りをあらわにした。
Aさんが刺された傷は肋骨骨折と肝損傷など全治3ヶ月もの重傷で、2週間ほど入院。帰宅し浴室で自分の体を見たときのことを振り返り「ひでぇ体だなって思いました…ううっ」と嗚咽した。
事件直後は「痛くて痛み止めがないと眠れなかった」、そして「今でも被告人みたいに太った人を見るとドキドキする。駅が見えるとフラッシュバックしてドキドキして吐き気がする。電車には乗れない。駅には近づかない。(略)被告人みたいに太った女性に襲われ羽交締めにされる夢をみる」と苦しい心境を吐露した。
これらの証言に対し伊藤被告は「人を刺すということは本当によくなかった」「傷痕を見たら想像以上だったので申し訳なかった」としながらも「どこでどうしたらこういう結果にならなかったのかが、まだわかってない」と言うと涙声になった。
「集英社オンライン」では#1、#2(それぞれリンク)において伊藤被告との手紙のやりとりや、本人が語った凄まじい“半生”を公開しているが、手紙にはこのような記述もあった。
《私は、取り調べ、精神鑑定でも、一貫して「ほっておくと何されるかわからない程 意味不明で怖いから、刺した」と主張してきました。殺意については、「殺しでもしない限り縁が切れないのではないかと思った」と言った覚えがあります。》