腸内環境を改善する

現在臨床で患者さんにお伝えしている対策をいくつか紹介しましょう。

化学物質過敏症は、外の環境からのさまざまな刺激に対して脳が敏感に関与する「脳過敏」による疾患です。

脳の場合、細胞の一部を採取することが困難であり、血液検査でも異常を検出しにくく「手を出しにくい」臓器であることは確かです。しかも脳には、簡単に異物や病原体が侵入しないようにする「血液脳関門(BBB:Blood-brain barrier)」と言われる関所のようなメカニズムがあり、厳重に守られているのです。

この血液脳関門のバリア機能のため、内服や点滴で投与した薬剤も、他の臓器に比べて脳の実質には基本的に到達しにくくなっています。このようなメカニズムを持つ脳は、どうにかしたくてもなかなか手を出せず、いわば「聖域」のような場所であることが、臨床や研究の難しさを招いているのです。

そこで注目したいのが、腸という臓器の存在です。腸と脳はどう見ても無縁そうですが、「脳腸相関」といった言葉で表現されるように、とても密接な関係にあります。

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例えば、緊張するとおなかが痛くなるといった症状も、脳腸相関の一例です。消化管の情報は神経系を介して大脳に伝わり、腹痛・腹部不快感とともに、抑うつや不安などの情動変化も引き起こします。

これらの情動変化が副腎皮質刺激ホルモン放出因子(前出・CRF)や自律神経を介して消化管へ伝達され、さらに消化管の運動異常を悪化させることになります*1。

つまり、治療にあたっては、脳そのものではなく、腸から脳にアプローチすることが1つのコツになるのです。便秘症、下痢や便秘を繰り返す患者さんには、ここがより重要となるポイントです。

腸の環境を改善するには、具体的にどうしたらいいか。それは、腸の環境を悪くするものを控えることと、腸の環境を良くするものを積極的に摂取することに尽きます。