相手に伝えるためのテクニック
ーーそもそも、なぜ我々は自分のにおいに気づけないのでしょうか?
たとえば起きたばかりの寝室では何も感じなくても、ちょっと時間をあけてみたり、違うにおいを嗅いだりしてから再度寝室に入ると、少し汗臭く感じることがありますよね。
このように人間の体には、人は同じ空間で同じにおいを長く嗅いでいると、その物質に対して鈍感になってしまう「順応(順化)」というメカニズムがあるんです。
ーー家庭や会社でにおいが気になったとき、どのように伝えればよろしいでしょうか?
においは誰しもが持っている個性であって、またセンシティブな話題なので、パートナーだったり、友人だったり、親しい関係にあっても伝えづらいかと思います。
そうした時に、企業などでは、やはりセミナーなどを上手に活用して第三者から伝えるのも1つの手段としてよいかなと思いますね。
また、相手ににおいについて伝える際には、いくつかのポイントを意識してみると、上手にコミュニケーションが取れるのかなと思います。
ーーぜひポイントを教えてください。
まずは「共感を得られるような伝え方をする」ということ。
もちろん、ストレートに「くさいよ!」と伝えられる関係性も素晴らしいと思いますが、たとえば「私最近代謝が落ちて痩せにくいんだけど、あなたも最近体調変わったことないかな?」といったように、自分のことを話したうえで問いかけてあげると、相手の共感を得やすいのかなと思います。
2つ目は、「頭ごなしに言うのではなく、相手を尊重して伝える」ということです。たとえば「夏は仕事中にも汗かいちゃって大変だよね。いい制汗剤があるみたいだから、使ってみない?」といったように、相手が言われてどう感じるかを意識するとよいかなと思います。
3つ目は、「話題を置き換えて伝える」ということ。たとえばワイシャツの首周りに汗シミができていた際に、「このシミは◯◯が原因らしいんだけど、ケアしてみない?」といったように、別の角度からケアを勧めるのも一つの手かと思います。
最後が「伝えるタイミングを考える」ということです。たとえば、1日働いて疲れて帰ってきた瞬間に「くさいよ」と言われると、やはり心のダメージが大きいですよね。
その際はご飯を食べたり、お風呂に入ったりした後の落ち着いたタイミングで伝えてあげると、相手も受け止めやすくなると思います。
梅雨があけて本格的な夏が来る前に、自分のにおいに鈍感になってしまっていないか、改めて見つめなおしてみるのはいかがだろうか?
写真・文/毛内達大