それでも自分の主張に合う候補者がいない場合は… 候補者乱立の弊害も

とはいえ、それでも自分の主張に合ったり、信用できそうな候補者がどうしてもいない場合もあるだろう。こうした場合は、どのような投票行動をとればいいのか。

ちだい氏はこの問題に関して、「選挙は必ずしも『自分の主張に合うか』という観点で投票する必要がありません」と提案する。

「ありとあらゆる政策が自分の考えと完全に一致する人を見つけるのは至難の業です。そんなときは、自分の主張に合わなくても『誰が最も都知事にふさわしいか』という観点で投票することもできます。

候補者が信用できない人だらけだと嘆く人もいるでしょうが、もし100%信用できるなら銀行の暗証番号すら教えられると思いますが、そこまで信用できる人は家族ぐらいしかいません。なので、ある程度なら信用できそうだという人に絞り、そこから1人を選ぶという方法もあります」

信用問題に関しては、過去最高の候補者が乱立している状況への弊害もあるという。

「今回の東京都知事選には『信用できそうにない候補』がたくさん出ているのも特徴です。もし本当に都知事になりたいと思っている人が50人以上も立候補するのであれば、こんなに賑やかで素晴らしいことはありません。

しかし、今回は『売名』や『商売』を目的とし、最初から『東京都知事になりたいとは思っていない』と言い切ってしまうような人たちがたくさん立候補しています。

こうなってしまうと、候補者が多いことにメリットはなにもありません。ポスター掲示板の拡張費用には数億円がかかるし、人々の命や生活がかかっている大切な選挙に『宣伝』が入ることになります。

また、本来は立候補した人全員をよく吟味して、誰が最も知事にふさわしいのかを判断しなければなりませんが、そのためには誰が売名で、誰が本当に知事になりたいと思っているのかをまず調べ、整理をして、取捨選択をする作業が増えてしまう。

忙しくて時間がないという人たちは選択が適当になり、最もふさわしい人に投票するチャンスが失われかねないのです」