剥がされた関根容疑者の顔入りポスター

残忍な殺害は信じられないほど雑な計画と指示で行われていた。

「仲介役の平山容疑者が殺人オーダーを出したとき、姜容疑者は居酒屋で即答で応じ、電話で受けた若山容疑者も『今決めろ』と言われてすぐに受けています。姜・若山両容疑者は自分が殺す相手が誰かも知らないまま、言われた通りガレージに現れた夫妻を殺害したとみられ、遺体の遺棄場所も平山容疑者がネットの地図情報サービスで『田舎のほう』を探し、ここで遺体を燃やしてこいと姜容疑者らに伝えていました」(捜査関係者)

若かりし頃の関根容疑者(知人提供)
若かりし頃の関根容疑者(知人提供)

4月16日早朝に燃えた状態で見つかった2体の遺体のうち、1体は宝島さんであることが同日中に判明。平山容疑者が翌17日に警視庁の交番に出頭したことで、犯行の全容が判明した。「平山容疑者は『出頭しろと指示を受けた』とも供述していますが、被害者の身元がすぐに判明し、ビビッた可能性もあります。自分は直接首を絞めていないから殺人には当たらないと考え“一抜け”を図ったのかもしれません。無駄でしたけどね」(社会部記者)

実はこのころ、宝島ロードでも小さな異変が起きていた。

「関根さんは宝島さんの店をマネージャーとして切り盛りしていました。ビールメーカーはサービスとして取引先の飲食店店長の顔写真を入れたポスターを作ってプレゼントしたりするんですが、関根さんの顔写真を用いたポスターが貼ってある店もありました。そのポスターが、宝島さんが殺されたとわかった直後に剥がされ、なくなりました」(近所の飲食店関係者)

経営の主導権をめぐる確執が顕在化していた?

関根容疑者は全身に刺青を入れ、巧みな話術を弄して金持ちマダムから大金を引っ張る「女喰い」で身を立てていた(♯29♯30)が、宝島夫妻の長女と内縁関係になり、1年半ほど前からサンエイ系列店の運営の前面に出るようになっていたと関係者は証言。系列の約20店のうち、5、6店は店のコンセプトや経営方針などを完全に仕切る「関根プロデュース」だったという。

この“関根系”の店の売り上げが特によかったことから、昨年ごろからこれを快く思わない宝島さんが「もっと(売り上げを)寄越せ」と要求するようになり、反発する関根容疑者が「(店を)取られるくらいなら、こっちから取ってやるか」と口にするなど、サンエイの内部では経営の主導権をめぐる確執が顕在化していたと関係者は話す。

警視庁はこの経営の主導権争いが殺害の動機になったとみている。

「関根容疑者は今年2月、系列店の店員らに送ったメッセージで、宝島社長からの要求に従う必要はないと伝え『4月末までにはすべて片づけます』とも表明していました」と店舗関係者も話しており、以前から4月末までに何らかの行動を起こすことを考えていた気配もあったという。