具体的に名前を出すなら、『ONE PIECE』(笑)ですよ
――清人さんの幼少時代を描いたコミックエッセイ『おばあちゃんこ』が発売されました。まずはこの漫画を描いた経緯を教えてください。
清人 35歳くらいのとき、楽屋で会ったインパルスの板倉(俊之)くんに「今のうちから描いておいた方が良いですよ」と言われたのがきっかけでした。
最初は異能バトルみたいなものを描きたくて頑張っていたんです。ただ、今回声をかけてもらった(出版元の)KADOKAWAさんから、「実話でお願いします」と言われて、この内容になりました。
大吉 絵を描くのが好きなことは、上京したころ清人と一緒に住んでいたときから知っていたんです。覚えているのが、誕生日プレゼントとしていきなり似顔絵をもらったことですね。そんなの恥ずかしいじゃないですか。「冗談じゃない、いらない!」と(笑)。
清人 拒否されました(苦笑)。
大吉 それから数年後に、「今、漫画を描いているんです」と見せられたのが、さっき清人が言っていた異能バトルものの漫画で。まぁ、どんな作品かと具体的に名前を出すなら、『ONE PIECE』ですよ(笑)。
清人 (笑)。
大吉 頑張って描いているのはわかる。でも、素人目線で見ても「これは売れんばい」と。「出版社も食いつかんし、読者からもどっかで見た話だなと思われるよ」と正直に伝えました。だから今回、漫画を発売すると聞いて「まさかあのときのアレが……!」と頭をよぎりましたが、おばあちゃんの話だった。「そう、そっちで良い!」と強く思いましたね。
――『おばあちゃんこ』を読んで、どのような感想を持ちましたか?
大吉 エピソードがどれも信じられない話ばかりじゃないですか? 貧乏だということは清人の口から聞いていたものも、多少は盛っているだろうから話半分、適当に聞き流していたわけですよ。それがここまで細かく描いているのを読んで、「本当だったんだ……」と改めて衝撃を受けましたね。
――大吉さんも同じ福岡出身ということで、共感できる部分もありましたか?
大吉 僕もそんなに裕福じゃなかったんですけど、ネタになるほどではなくて。吉本にいると、貧乏エピソードの強い人がめちゃくちゃ多いので。『ホームレス中学生』の麒麟・田村くんとか、メッセンジャー・黒田くんを筆頭に、「赤ん坊の頃、捨てられていて」とか、「寝ているときに耳をネズミに齧られて」とか、とんでもないエピソードだらけ(笑)。
清人も私立の高校に通っていたから「恵まれているほうかも」と思っていたのに、漫画を読んだら「もっと世間に言えよ!」と(笑)。本人もそうでもない風を気取っているけど、十分にあっち(強烈な貧乏)側だよ! と。