インパクトあるビジュアルに秘めた想い

「『残夢』は一昨年、高校2年生時の作品で、現在の作品性、作家性、スタイルを固めた作品です。F60号キャンバスに油絵具で制作しました。最も野生的でありながらそれと同時に最も文化的な器官である口をモチーフとしてそれにニードルを刺すことで自分の興味の対象の一つである自傷行為、自慰行為と関連付け、制作を行ないました」

『残夢』
『残夢』

高校2年生のときに作家性が固まったというPokomiさん。翌年もまた、インパクトのある作品を作りだした。ワイシャツを突き破って、お腹から筋肉剥き出しの口が飛び出し、何かを叫んでいる。

「この作品のタイトルは『腹から声出せ』。去年、高校3年生時の作品で紙粘土、ボンド、キャンバスで制作しました。自分の作品のモチーフの代表である口腔から展開させ、自画像として制作しました。悲観的で内気な自分を慰めるような、包み込んで大丈夫だ、と言い聞かせるようなことを意識して制作しました。『残夢』と『腹から声出せ』、2作品共にパッと見のビジュアルの強さと同時に、その中にあるコンセプトを意識しています」

 

『腹から声出せ』
『腹から声出せ』

これから4年間、多摩美で美術を学んでいくPokomiさん。多摩美には卒業生に偉大な芸術家が多くいるが、Pokomiさんは自身が目指していく方向性として、「その絵、その人自身が象徴、アイコンになれるようなアーティスト、作品を目指しています」と語る。

「作家として活動することを目標とし、社会や世界に向けた利他的な作品ではなく、極めて自己的な、自分を救うための作品を作っており、それを見ていただいている方々のことも救うことができればなと思い、日々制作をしています。

最近は、絵画作品だけでなくインスタレーション、パフォーマンス等にも興味を持っており多摩美術大学では作品単体ではなくそれ自体から展開されるムードや空気感を意識し、これまでの作品から一つ進んだ制作をしていければな、と考えています。自分がこの世界で生きたい、心から大丈夫と思えるように制作をするのが、自分の指針でありモットーです。

今回は並べたどんぐりがバズりましたがふだんは作家としての制作を主に行なっているので、今回このポストから自分のことを知っていただいた方々もよければ自分の作品、活動を見ていただければうれしいなと思っております」

入学早々にSNSを大きくバズらせてしまったPokomiさん。一体どんなアーティストになっていくのだろうか。これからの活躍に注目だ。

取材・文/集英社オンライン編集部