罰則なしでは効力も低く…
「私の“推し”は連絡会にも参加した大手グループ傘下のお店に所属していますが、4月になってもシャンパン(の注文)を煽ってきますね。
私がいつもお店に現金5万円しか持ってこないことを知りながら、この間も『10万円のオリシャン(そのお店限定のオリジナルシャンパン)入れてよ。足りない分は俺が立て替えるからさ』と持ち掛けてきました。他の子からも同様の話を聞きますよ」(A子さん)
“立替”と“売掛”の違いは何なのか。
「売掛はお店に対してのツケ払いでしたが、立替はホスト本人が会計分を立て替えること。つまり、ホストと客の個人間での貸し借りになるんです。だから表向きは店の売掛青伝票はなくなっても、ツケ払い自体はなくなっていないんです」(同)
同じツケ払いでも、立替は売掛よりもタチの悪い面もあるそうだ。別のホストクラブに通うB子さん(20代)は言う。
「立替はいわば個人間の借金だから、ホストもお店を介さず直接、女性客に圧をかけたり暴言を吐いたりするんです。
それで売春をさせればホストも逮捕されますが、最近ではホストは女性客とやり取りする際に、自動メッセージ削除機能のある『Signal(シグナル)』を使ったりと、警戒を強めています」
ホストクラブの被害女性やその親族らを支援する一般社団法人「青母連(せいぼれん)」の玄秀盛代表理事(67)も売掛がなくなったことで別の問題が起こっていることを指摘する。
「ホストクラブの高額な会計をクレジットカードで支払い、結果、債務整理することになる女の子が増えている。先日も20歳そこそこでクレジットカードを10枚も持ち、それぞれでホストクラブで高額な支払いしてしまったと相談に来た女の子がいました」
また、昨年12月の連絡会で示された「売掛金を親族など第三者に取り立てないこと」「20歳未満の新規客の入店禁止」の自主ルールについても、「いまだに『19歳の娘が家出をしてホストクラブに通っている』『ホストから娘の売掛金の取立の連絡がきた』という相談がきている」(玄氏)という。
連絡会でホストクラブ代表らが表明した自主ルールは現状、破ったところで罰則はない。本格的な法整備が行なわれない限り、歌舞伎町が抱える問題の本質は変わらないのかもしれない。
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取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班