中国で「専業子供」(ニート)が増えている理由
今年、3月に開催された中国の国会にあたる全人代こと、全国人民代表大会。ここでも若者の就職難が議題となり、中国政府は「就業困難層を強くサポートしていく」と発表したが実態は少し違うと、中国人YouTuberのPooちゃんは言う。
「就職難って言うけど、これ、中国人のメンツの問題なんだよな。それも若者世代のメンツじゃなくって、40〜50代の親世代のメンツ問題。そもそも中国の都会なら仕事はあるし、月給だって日本円で20〜30万円はもらえる。
日本でも、実家に住んでてこれぐらい給料もらっていれば本人的には満足でしょ。けど、それじゃ納得しないのが中国の親世代なんだ。
親世代は友達や親戚同士で『子供の就職先マウント』があるから、月給20万円の会社にはなかなか就職させない。“就職難”の背景には、中国ならではのこうした特殊事情がある」
近年の中国は、日本や欧米以上の学歴社会となっている。それこそ幼稚園から膨大な教育費をかけて英会話やプログラミングなどをマスターさせるのは当たり前で、そうやって国内外の名門大学を目指すのが既定路線なのだという。
「中国で“最強の学歴”といえば、アメリカやイギリスへの留学組。でも留学させるには相応の教育費がかかるわけで、親のメンツからしても、そうした子どもの就職先は給料の高い外資企業一択。
つまり子どもがマイクロソフトやBMWみたいな外資に就職して月給50万円以上をもらってこないと、メンツが立たないってわけ。
だから外資に入れないんだったら就職をさせない。とりあえず実家にいさせて、お小遣いをあげて家事手伝いみたいなことをやらせる。中国だと『専業子供』とかって表現するんだけど、要は完全にニートなんだよ。
ただ、こういう子どもたちは、みんなそこそこの金持ちでお小遣いももらってるから、日本の氷河期世代みたいな悲壮感はまったくないんだよね。だから中国の若者の失業率については、学歴があってお金持ちのやつがどんどんニートになっているというのが実状だね」