足立区に住む中国人は10年間で2倍に 

竹ノ塚は東武伊勢崎線で東京駅まで約40分のアクセスで、都心方面に向かう始発駅でもあるため通勤には便利な場所だ。

駅周辺にフィリピンパブが多く集まっていることから「リトルマニラ」とも呼ばれてきた。近年は韓国やベトナム料理の店も増え、街の光景は多国籍化しているが、なかでも中国本土で使われる「簡体字」の漢字だけが並ぶ中華料理店の存在感が増している。

撮影/集英社オンライン
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かき入れ時の夕刻に訪れたそのうちの1軒は、従業員に日本語が通じる人はいない。それでも従業員の女性(42)はスマホの翻訳アプリを介し

「私は去年10月に竹ノ塚に来ました。この店の開店もそのころ。ここは家賃が安くて住みやすく、都心で働く中国人がたくさん住んでいます」と話してくれた。

竹ノ塚には、中国の北西に位置する黒竜江、吉林、遼寧の三省を言う「東北部」出身の人が多く暮らしているといい、三省内の地名がついた店が多い。白菜を発酵させた東北部特産の「酸菜」を使った料理もあった。

住民基本台帳では足立区に居住する中国人は今年1月1日時点で1万6790人となっており、ここ10年間で約2倍となった。足立区が2021年に行った外国人実態調査では、同区に暮らす理由として、複数回答の中で「手ごろな住居が見つかった」が30.8%で最も多かった。

竹ノ塚駅周辺の商店街(撮影/集英社オンライン)
竹ノ塚駅周辺の商店街(撮影/集英社オンライン)

「15坪(約50㎡)前後の比較的小さな土地の駐車場付き一戸建ての新築価格は、東京23区の他の地域では6000万円以上のところが大半ですが、この周辺では安ければ3500万円台で買えます。

30坪規模の新築戸建ても5000万円台から。割安感があるのは賃貸物件でも同じですね」(地元不動産業者会社幹部)

ただ、コロナ禍と木材価格の上昇の影響で、住宅はどの価格帯でも近年1000万円前後値上がりしており、この地域では日本人の購入はまだ低調だという。そこで存在感を増しているのが中国人だ。