賃貸住宅で引越しする頻度はどのくらい?

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2022年に発表した調査によると、単身世帯は平均3年3か月、ファミリー世帯は平均5年1か月であった。

そして少し意外かもしれないが、首都圏のほうが他の地域よりも平均居住期間が長く、首都圏が単身世帯は平均3年6か月、ファミリー世帯は平均5年6か月なのに対して、首都圏・関西圏を除くエリアでは単身世帯は平均3年1か月、ファミリー世帯は平均4年10か月となっている。

これは首都圏の賃貸物件は敷金・礼金が高くて引越しのハードルが高いほか、転職をしても電車などで通勤できる範囲が広いため、わざわざ引越さなくてもいいことが関係しているようだ。

芸能人でいえば、お笑いコンビ・オードリーの春日が、「むつみ荘」という家賃3万9000円の木造2階建てアパートに、結婚するまでの約20年間住み続けていた。

また、お笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんは、上京以来、15年間同じマンションに住み続けてきた。その理由は金銭面ではなく、引越しをするのが面倒だからというものだったが、2021年にバラエティー番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内でついに引越し。築63年の物件が、老朽化で取り壊しが決まったための立ち退きで、まさに、今回のおじいさんのケースと同じであった。

しかし、こうして老朽化した物件を取り壊しての立ち退きがスムーズに決まる例ばかりではない。全国では空き家が増えており、その数は1000万戸にせまる。東京都・世田谷区では、土地の価格が高いにもかかわらず、空き家を約5万戸かかえており、その数は日本一だ。

写真/shutterstock
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2023年にNHKスペシャルで放送された『老いる日本の“住まい” 第1回 空き家1000万戸の衝撃』では、東京都・中央区に空き家を抱える66歳の男性に密着。ボロボロになった家を放置してしまっている理由について、相続の権利がややこしかったことにくわえて、思い出がつまった家を手放していいのか? という気持ちに駆られたことだと答えていた。

歴史ある部屋には、“エモい”の一言では片付けられない、さまざまな事情があるようだ。

取材・文/集英社オンライン編集部