新たな世界秩序の中で、日本はどう立ち回るのか
――日本も長い間アメリカに依存しています。日本の状況についてどうお考えですか。日本の役割や意義は、国際社会においてどうあるべきでしょうか。
その質問には、お答えできます。そのことを常に考えたうえで、私は日本との特別な関係を持っていますから。だから、私は日本についての意見を求められた際に、同じ答えを返し続けています。
日本が抱えている一番の問題は、中国ではありません。日本の主な問題は人口問題です。むしろ、中国の人口がもたらすマイナスのショックは、日本にとってもマイナスのショックになります。日本の産業システムは、アウトソーシングなどで中国の労働力に非常に依存しているからです。
だから合理的な態度としては、このような関係性があることをまずは認めることです。軍事力などの幻想へと逃避して、問題を忘れようとするのではなく、日中が一緒に人口問題に立ち向かおうとすべきでしょう。
そして、まずは移民を受け入れる必要がありますが、これはすでに始まっています。それに加えて、日本の女性が子どもを持ち、満足のいく職業生活を送ることができるような新しい政策も必要です。
安全保障に関しては、イラク戦争が勃発していた頃の朝日新聞のインタビューと同じことを繰り返します。
同盟国であるアメリカは、安全でなくなっており、不安定である。だから、軍事的安全保障をアメリカに依存することはリスクである、と。そして、日本が安全だと感じるには、核爆弾を手に入れる以外に方法はないということです。核爆弾を持つことで、世界の紛争に参加しないという選択肢を持つことができるからです。
日本のような国の場合には当てはまりませんが、たとえばフランスのように核爆弾があることで中立を保つことができ、無用な争いに巻き込まれることを拒否できる国もあります。
これは、私はもう何十年も言い続けていることです。そして、今も言い続けています。日本を取り巻く状況はますます切迫していますし、これに付け加えることはあまりありません。
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