森氏、5人衆、首相の思惑が一致

下村氏が政倫審に出席すると困るのは、森氏だけではない。

「下村氏が政倫審に出席した場合、森氏の意向をくんで『下村外し』をしてきた5人衆も、何を言われるかわかりません。西村氏らは政倫審で、キックバック再開の経緯を知らないと語りましたが、下村氏がこうした幹部の発言を覆す証言をする可能性もあります。

安倍氏亡き後、5人衆は、ベテランの塩谷氏とは積極的に話し合いをしてきましたが、『下村さんなんて、自分が目立ちたいばかりで、俺たちの兄貴なんかじゃない』(5人衆の一人)と、『下村外し』をしてきました。そのため、5人衆も下村氏の恨みを買っています。森氏と5人衆はともに、なんとか下村氏の出席を阻止したかったのでしょう」(全国紙政治部記者)

政倫審に出席した岸田首相(共同通信社より)
政倫審に出席した岸田首相(共同通信社より)
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そして、思惑が一致したのは岸田文雄首相も同じようだ。

「首相としては、安倍派幹部が不起訴に終わり、自身が出席してまで政倫審をフルオープンで開催したのに、下村氏が爆弾発言をして、裏金問題がさらに大きくなるのは避けたいところ。最近では、自身を支えてくれるはずの茂木幹事長や森山総務会長と意思疎通が十分にできていない場面も散見され、孤立も深まっています。

永田町では4月28日の補選に合わせた衆院解散総選挙もささやかれており、支持率回復のためにも、裏金問題に早くけりをつけ、4月の訪米や6月の4万円定額減税などをアピールしたいのではないでしょうか」(同)

森氏、5人衆、首相の思惑は一致しても、下村氏の説明を求める国民の思いとは遠そうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班