「日本だけがどんどん貧しくなっている」


日経平均株価が私たちの生活状況を表す指標とはあまり言えないことがわかった。私たちの生活が豊かになっているかどうかを確認するうえで注目すべき指標として、広瀬氏は“実質賃金”を挙げる。

「厚生労働省によると実質賃金は21か月連続下落しており、30年前と比較しても、これだけ賃金が上がらない国は日本だけです。2021年3月の経済財政諮問会議に提出された資料によると、全世帯の年間所得は25年で178万円減少。25~34歳の若い世代の単身世帯では、非正規雇用の世帯の割合が大きく上昇しており、年収200万円台の低所得者の割合が増えました」

生活がまったく豊かにならない現状を鑑みると、実質賃金は端的に国民の生活レベルを表している数字と言っていい。続けて、実質賃金だけではなく、税金や社会保険料などを合計した“国民負担率”という指標にも言及する。

「私が生まれた1977年の国民負担率は27.3%でしたが、44年後の2021年には約1.75倍にあたる48.1%まで膨れ上がっています。税や社会保障の負担増に伴い、貯蓄ゼロ世帯は4割を超えました。世界中のほぼすべての国の国民の生活が豊かになっていく中、日本人だけはどんどん貧しくなっているのです」

「日本だけがどんどん貧しくなっている」日経平均株価を最高値更新でも豊かにならない実状…実質賃金は21か月連続下落_2

まずは消費税廃止

どんどん世界から置いていかれている現在の日本。私たちの生活を豊かにするアイデアとして、広瀬氏は消費税廃止を強調する。

「“税”とは収入や資産の多い人と低い人の格差を是正したり、社会を安定化させて公平な社会秩序を保ったりするためなどに存在する制度です。断じて行政運営を行なうための財源ではありません。中でも、消費税はとても質が悪い。消費税が導入されたり消費税率が上がったりする度に景気は悪くなりました。

景気悪化を招くだけではなく、高収入な人ほど負担が少なく、“逆進性”の高い税制こそ消費税です。年収1500万円以上の人の消費税負担率は約2%ですが、年収200万円未満の人は約9%というデータがあり、消費税は格差をより拡大させる恐ろしい税制といえます。消費税の影響によって日本国民の賃金は下がり、貯蓄できない人が増えていることは自明の理。まず消費税を廃止することが、多くの日本国民の生活を豊かにすることにつながります」