「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて…」

「担当秘書が派閥事務所に呼ばれて、還付金(=キックバック)を現金で渡された。(中略)派閥事務所からは『記載しなくてよい。場合によってはご自身のパーティーのほうに混ぜてもらったらよいのではないか』と言われた。(中略)指示に従って記載はしなかったが、秘書は使うと危ないと考えて現金でそのまま保管していた」

噴飯物だったのは以下の回答だ。

「日ごろ、お金の増減の確認ぐらいしかしていなかったが、会計の確認の習慣を持っておくべきだったと反省している」
「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて、経理のことは秘書に任せていたが、監督責任を痛感している」

報告書は、キックバックの使途についても調査しており、「会合費」「懇親費用」などのほか、「手土産代」「弁当代」「書籍代」といった政治活動との関連が曖昧なものも。「気持ち悪いと思って使わなかった」「“裏金”みたいなものではないかと思い、全額残した」と違法性を認識していたかのような回答もあったという。

自民党本部
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報告書は、調査を踏まえた「再発防止に向けた提言」を打ち出しており、「一人ひとりの議員・秘書において、法令違反やコンプライアンス上グレーな状況を把握した際に、本当にこのやり方でいいのか、霧を晴らす術はないのかを妥協なく追求する姿勢が徹底できなかった」と断じている。

さらに、「上の者に対する畏怖や忖度から指摘されるべきことが指摘されないと不正は重症化」すると指摘。「当選回数による序列や人事への懸念から、若手議員が意見しにくい閉鎖的な組織風土が派閥内に生まれてしまっていたのではないか」と派閥政治が生んだ弊害を訴えている。

結党以来、何度も「政治とカネ」の問題に見舞われてきた自民党。果たして報告書が提案する道筋に沿って、根深い問題の根幹となっている派閥を解消し、再生はできるのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班