――ボク、ヒャダインさんからデモを聴かせてもらって、曲がどうやって出来上がっていくのかって流れもけっこう知ってるんですよ。
最後の最後の話って覚えてます?
――1回歌詞を変えさせられたときに戦ったみたいな話は聞きました。
戦いましたね。「いっちょ まるっと」が「いっちょ ソバット」に変わったときも、川上さんにいきなり会社に呼ばれて、「ここ『まるっと』を『ソバット』にするから」って言われて。「リピート・アフター・ミー。いっちょまるっと」「いっちょまるっと」「いっちょソバット」「いっちょソバット」「イエス、帰れ」って言われて、「え、これで!?」みたいな感じで帰されて。
きっかけは福山雅治
――どうしてもプロレス要素を入れたかった。
そうですね、「なんかわかんないけどソバットで」って。そのときにカップリングが『走れ!』で、『走れ!』は歌詞ができなくて。何回も何回もユニバーサルミュージックの偉い人に「ダメだダメだ」って言われ続けてたんですよ。
いよいよ明日レコーディングっていう日の夜中に、初めてmichitomoさんのところでふたりで歌詞を考えたんです(クレジットはINFLAVA名義)。そこで出た歌詞っていうのが、「好きなんだ好きなんだ とにかく好きで好きなんだ 好きで好きで好きで好きで好きでキスしたいよチュッ」だったんです。
――え!
夜中の2時に「俺ら天才だ!」って言ってましたからね。
――ダハハハハ! 夜中のテンションなだけですね(笑)。
朝起きてレーベルの偉い人に「これです!」って見せたら、真顔で「バカか?」と言われまして。でも、2時間後にはレコーディング始まりますってときに、福山雅治さんの『はつ恋』ってCDをポンと渡されて。
「これ初恋を表現したいんだろ? 福山雅治の初恋はこれだよ。ももいろクローバーの初恋って何?」って言われて、机に戻って15分で書いたのがいまの歌詞なんです。で、「笑顔が止まらない! 踊るココロ止まらない! 動き出すよ 君の元へ 走れ!走れ!走れ!」になって、そのままレコーディングしたんです。
だからレコーディングの日の朝の出来事なんですよ。いまでも鮮明に覚えてますね。「歌詞が決まらないどうしよう? 川上さんに怒られる」っていう。
――そこまで追い込まれて。
あのときよくやってましたね。でも実はユニバーサルミュージック内で一番評価が高かったのは『全力少女』でした。『オレンジノート』も、これ初めて言いますけど、あの歌詞は僕の日記なんですよ。当時、オレンジ色の手帳を日記に使ってたんです。それで『オレンジノート』ってタイトルで、その日記から拾って歌詞を書いて。その直後にももクロはキングレコードに移籍ですね。