吉沢さんは「これからもJALに乗りますよ」
別のJAL元乗務員のBさんも言う。
「私がキャリア20年目くらいのときに乗った国内便で、フライト中にお客さまが持病により急死されたことがありました。その方の容体の変化に気づかなかった落ち度があったのではないかという自責の念に駆られ、その後はメンタルのバランスを崩してしまったことがありました。
お客様の命をお預かりし、安全に目的地までお運びする保安要員としての役割を担っているだけに、今回の事故で激しい煙やパニック寸前の機内の経験をした乗務員たちのメンタルを思うと気が気じゃありません」
今回の事故について複数のJALの現役乗務員に事故後のケアはどのようになされたか取材を試みたが、いずれも「事故の真相がはっきりするまでは迂闊に発言できません」と言葉を濁した。
前出のAさんは言う。
「1月初旬にJALの管理職と会って話を聞いたところ、9人の乗務員に対しての社内聞き取りをようやく終えたところで、その管理職は、ただただ『みんなよく頑張った』と称えていました。今後は原因を徹底的に究明するとともに、再発防止策や新技術の導入などに繋げなくてはならないと思います」
これまで羽田空港は訪日客の増加などに対応するため、航空機の受け入れを増やしてきた。国際空港評議会(ACI)によると、離着陸は1時間あたり最大90回にまで及び、米ダラス・フォートワース空港、米アトランタ空港に次いで羽田空港の離着陸は三番目に多い“過密な”空港といえる。
前出の吉沢さんは「実家に帰省する時は必ずJALなんです。マイルも貯まるし(笑)、これからも乗りますよ」と笑顔で答えた。乗客たちの笑顔をこれからも守るためにも、航空業界と国内外の行政も一丸となって空の安全に努めてほしい。
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取材・文 集英社オンラインニュース班
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#2「避難路を若い人に譲る高齢者夫婦」「JALへの文句は一切ない」516便に乗っていた東大生が語る乗客とクルーへの感謝「当事者じゃない方の声が大きい」「今後もJAL便に乗りたい」