風俗の仕事以外に選択肢がない

そんな詩が体調を崩したのは、数か月前のことだった。朝起きたら、腰が抜けたように立てなくなっていたのだ。

詩は店のオーナーに電話をし、救急車を呼んでもらった。この時は神経系の病気だったそうだが、風俗で働いていることを話して婦人科系の検査も受けたところ、淋菌感染症、クラミジア、コンジローマ、梅毒といった4つの性感染症にかかっていただけでなく、アナルセックスのせいで直腸脱が起きていたそうだ。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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医者からはこう言われたそうだ。

「あまり痛みを感じないから平気だと思っていても、知らない間に体はボロボロになっているんだよ。今くらいの年齢ならともかく、こんなことを続けていたら、近いうちに大ごとになる。風俗の仕事をやめて普通の仕事に就きなさい」

今回、詩が取材協力に連絡をくれたのは、今後のことについて悩んでのことだという。彼女は次のように話す。

「風俗の仕事は嫌いじゃないから、たぶん続けると思う。でも、あんま儲からないし、病気になっていっぱいお金がかかちゃった。だから(これから働こうとする自分のような人には)大変だよって言いたいです」

詩には、風俗の仕事以外を思い描けないし、それを教えてくれる人も周りにいないのだろう。民間の支援団があるにはあるが、詩自身が強い意志を持って生活を変えたいと思わない限り、現状から脱するのは難しい。

取材・文/石井光太

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取材・文/石井光太

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