「なにか仕事あったらお願いします」堀は相当カネに困っていた
渥美容疑者は切羽詰まってAさんらの前から「飛ぶ」直前、同級生のTを社長に仕立てて別会社を設立し、大金を引っ張ろうとしていたという。
「渥美が言い出して、都内に新会社を作るってことでみんなの名刺まで作ったんですよ。それで1000万円の融資を受けるって目的で、社長にTを立てた。渥美自身は借金まみれで自分じゃカネを借りられなかったからTを社長にしたんですよ。だから俺はTに言ったんです、『お前、絶対に1000万とか借りたら、渥美に逃げられる。やめたほうがいいよ』って」
案の定、渥美容疑者は姿を消した。それから3年後、しばらく音沙汰のなかった堀容疑者からこんな連絡があったという。
「堀が逮捕される1週間ぐらい前に、SにLINEを送ってるんですよ。『なにか仕事あったらお願いします』って。Sが『なにできるの?』って聞いたら『タイルもできるし、何でもできます』って言ってきたので『じゃ、なんか入ったら連絡するね』と返信したらしいんだけど。いずれにしても堀は相当カネに困っていた様子で、渥美の手伝いで遺体を運んだのも金が理由だったのかもしれません」
仕事では腕の確かさを見せていた渥美容疑者だが、少しでもクレームがつくとすぐに逃げ出すような、弱虫な本性も垣間見せていたという。
「あいつはね、嫌な現場になると逃げるんです。現場が仕上がって終わった後に、『金を払いたくない』とゴネたりとか。その手の揉めごとの火消しは全部俺がやってました。あいつ、面と向かってはっきり言えないんで。そのくせ、自分より弱い人間にはとことん強い。基本的に性格が弱いから捕まるまでの何か月間は、すごいビビッてたと思います」
Aさんはいま、渥美容疑者の横領などについて、警視庁に被害届を出すことも検討しているという。
「お金は多分戻ってこないでしょう。遺棄された彼女のために少しでも刑が重くなるようにしないと…。彼女が浮かばれないですもんね」
渥美容疑者と交際していた野本さんは行方不明になる前、「彼氏の連絡がしつこい」「別れたい」などと友人に相談していたという。警視庁は、野本さんと渥美容疑者の間で交際を巡りトラブルがあった可能性があるとみて捜査を進めている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班