堀は気が弱いところがあって、渥美の意見は絶対
共犯者は「被害者」のはずの堀容疑者。そもそも、この2人はどういう関係だったのか。
「この2人とTは同じ都立高校の同級生で、堀は渥美のおじいちゃんがやってた会社で防水工事の勉強をしたみたいだね。弟子といえば弟子でしょう。堀は気が弱いところがあって、渥美の意見は絶対みたいに聞いてるところがあったね。
陰では渥美の悪口言ったりすることはあっても、結局便利屋扱いされてた。渥美は自分がトップにいて、下を使ってお金が入ってくるような会社にしたかったんだろう。自分は楽して動かないから」
しかし、そこそこ大きな仕事を受注していた「K」が傾くほど、渥美容疑者は何にカネを使ったのだろうか。Aさんはこう振り返る。
「飲みに使っちゃうんじゃない? 俺もあいつと2、3回飲み行ったことあるんですよ。居酒屋にもスナックにも連れてってもらいました。そもそも、仕事を取ってきて、その仕事を振るまではやるけども、実際にお金が入ってくると、どういうつもりか自分で全部勝手に使ってしまうんです。それがだんだん1年ぐらいでわかってきて、もう一緒にやっていくのは無理だなって思いました」
とはいえ、渥美容疑者が通い倒していた居酒屋などでは、そんなに高額な代金を請求されるとは思えないのだが。
「一緒に飲み行くと、あいつは全員分のお金を支払うよ。例えば友だち5人連れて行くとしたら、やつは全員の分を払うでしょ、間違いないね。やつはふだんの口調は丁寧なんだけど、酒飲むともうオラオラ。キャバクラとか行ってもオラオラみたいな感じで、1回、どこだったか忘れたけど40万円ぐらい払ってたことがあった。見栄を張りたいんだろうね」
ただし、見栄っ張りだった渥美容疑者も、防水工事の腕は確かだったという。早くに亡くした父の形見だというコテを使い、その仕上げは美しかった。
「飲んでるときに親父の話になると涙を流してたよ。お父さんも防水屋でコーキングのシールを打ったりしてたみたいで、やつがシールを打つのに使う手製のコテみたいなやつはお父さんの形見のはずだよ。やつのシール打ちは、すげえきれいでしたよ。技術もお父さん仕込みかわからないですけど、腕はよかった」